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人口動態「欧州高齢化」はウソだった?
「新世界」のアメリカから見ればヨーロッパは「旧世界」。そんなヨーロッパでは高齢化が日々進んでいる──と一般的には考えられてきた。しかし米金融大手ゴールドマン・サックスが最近まとめた人口動態に関するリポートは、ベビーブーム世代の老齢化に伴ってヨーロッパはあと20年ぐらいでよぼよぼになるという常識を一蹴している。
このリポートによると、ヨーロッパの多くの先進国では出生率が2001年に底を打ち、それ以後は上向きに転じている。顕著なのはイギリス、フランス、スペインといった国々。原因は移民の増加だけではない。
先進国の女性は出産年齢が上がっているが、従来の計算では(驚いたことに)その点が考慮されていなかった。「(従来の統計手法が適用される)ヨーロッパ諸国では、実際よりも15~20%低く出生率が見積もられていた」とゴールドマン・サックスのエコノミスト、ピーター・べレジンは言う。
この誤差は重大だ。何より、増加する高齢者を賄うための年金によってヨーロッパの社会福祉制度が押しつぶされる、という不吉な予言が正しいとは限らないことになる。
ヨーロッパにミニ・ベビーブームが再来する兆候も見られる。そうなれば子供たちが労働力になる20年後には国民所得も増加する。
「年老いたヨーロッパ」は、これから「アンチエイジング」の時代を迎えるかもしれない。
[2009年9月30日号掲載]