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共産党中国のリーダーは文系へシフト
中国の指導部は、技術者集団といっていい。胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席や温家宝(ウエン・チアパオ)首相をはじめとする中国共産党政治局常務委員の9人のうち8人が、理工系出身だ。
それは、人間を犠牲にしてまで問題を「建設」によって解決しようとする姿勢からもよく分かる。
エネルギー不足を解消するための三峡ダム建設では、考古学的価値のある地区が水没に遭い、124万人もの住民が強制移住させられた。北部の干ばつ対策には「南水北調」プロジェクトをスタートさせて、長江の水を巨大な水路で運ぼうとする。おかげで周辺の地域社会は混乱に陥っている。
しかし、こうしたアプローチが変わるかもしれない。温の後継者と目される李克強(リー・コーチアン)、米中関係で重要な役割を果たす王岐山(ワン・チーシャン)など、共産党若手の期待の星8人は理工系ではないからだ。
彼らの学生時代の専攻は経済、歴史、ジャーナリズム、法学とさまざま。政策研究機関のブルッキングズ研究所のチェン・リー上席研究員は、この転換を「実体を伴う変化」と呼ぶ。若手は、より国民の側に立った解決法を模索する可能性があるからだ。
水不足については、彼らは水資源の保護を推進しながら水道料金を値上げして節約に導いた。さらに、早急に求められている法的手続きの改善に着手し、受刑者に控訴、保護観察、保釈などの仕組みを教育している。中国の指導部がソフトになる日が来るかも?
[2009年9月16日号掲載]