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特報ドイツ総選挙がテロの標的に?
総選挙を月末に控えたドイツの情報当局にテロ予告が殺到。鉄道爆破テロで政権が覆ったスペインの二の舞は避けられるのか
不気味な類似点 マドリードで鉄道爆破テロが発生したのは04年3月11日、スペイン総選挙のわずか数日前だった Kai Pfaffenbach-Reuters
9月27日に総選挙を控えたドイツでこの数週間、情報当局にテロ関連の情報が殺到していることが、ニューズウィークの取材で明らかになった。ただし、情報の信憑性には疑問の余地もあり、総選挙直前のテロを警戒する警察や諜報当局からカネを巻き上げるために、情報源が話をでっち上げたケースもあると当局はみている。
当局に届くテロ情報には、イスラム聖戦士のビデオメッセージから電話やメールの通信記録、テロ計画の詳細を知っているとする情報源による情報提供までさまざまな形がある。
欧州のテロ対策担当者(ほかの引用者と同じく微妙な問題のため匿名を希望)によれば、なかでも特に気になるのはビデオメッセージ。ドイツを名指しで脅すビデオの数が急増している点が非常に気がかりだという。
選挙終了後にテロ発生の可能性も
欧米諸国のテロ対策関係者が懸念するのは、アンゲラ・メルケル首相率いる連立政権の存続がかかった今回のドイツ総選挙を、テロリストが政治的な発言をする格好の場面と考える可能性だ。5年前にスペインの首都マドリードで鉄道爆破テロが発生した当時と現在のドイツの間に、テロリストが類似性を見出しているとしたら危険だ。
190人以上が死亡し、2000人近い負傷者を出したマドリッドのテロが勃発したのは04年3月11日、総選挙のわずか数日前だった。テロ前の世論調査では保守派のホセ・マリア・アスナール首相がわずかにリードしていたが、テロを境に形勢は逆転。アスナールは再選を阻まれ、社会労働党のホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロが勝利した。
ドイツでも、メルケル政権への恨みとは関係なく、選挙結果を左右するパワーがあることを誇示したいという単純な理由で、過激派が総選挙直前にテロを実行する可能性がある(ただし、当局がそうした計画の情報を入手しているかどうかは明らかでない)。
アメリカのテロ対策担当者は、情報の多さから判断して、選挙終了後の数週間にテロが発生する可能性も十分にあると指摘する。また欧州のあるテロ対策担当者によれば、ドイツ当局が入手した情報のなかには選挙前のテロ計画の具体的な日時や場所も含まれており、警察当局は特別の関心を寄せているという。
もっとも、いったん厳密な捜査を開始すると、そうした情報の多くは間違いだと判明する。テロ情報のタレコミには多額の謝礼が支払われることが多いため、カネ目当ての情報源が話をでっち上げたケースも少なくないと、当局も考えている。