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国連ノルウェー外交官、「潘基文は無力」
褒め言葉が見つからないときは、何も言わないほうがいい。これが国連大使の場合なら、悪口を言うのはもちろん、書き残すなどもってのほかだ。
しかし、これをやってしまったのがノルウェーのモナ・ユール次席国連大使。自国の外務省に宛てた極秘文書が8月19日付の地元紙に暴露されたのだ。酷評の標的は潘基文国連事務総長。ユールは文書の中で、潘には影響力もカリスマ性もなく、「まったく存在感なし」と切り捨てた。文書が公になった際、夫と休暇中だったユールは何の対応もできなかった。
もっとも、こうなるのは時間の問題だった。ユールの見解は、国連内部で以前から広く共有されていたものだからだ。
ユールは国連加盟国の間で潘に対する批判の声が高まっているとし、「カリスマ性のなさが重荷になっている」と指摘。「やる気と学ぶ意欲が欠けているせいで、多くの交渉で影響力を行使できていない」と痛烈に批判した。
ブッシュ前政権が国連事務総長の職に冴えないリーダーを望んでいたのは有名な話だ。しかし、今では事情が変わったらしい。
ユールの文書によると、米政府は潘の2期目続投をそれほど望んでいないという。これが事実なら、国連の現状維持を望む中国から反発を招くかもしれない。オバマ米大統領やクリントン米国務長官、ライス米国連大使が本気で国連に携わる気だとすれば、今後の動きから目を離せなくなりそうだ。
[2009年9月 2日号掲載]