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中南米北朝鮮に学ぶホンジュラス
軍のクーデターで大統領が追放された小国に全世界が振り回される理由
最高の宣伝 ホンジュラスの狙いは世界の注目を集めること?(写真はミチェレッティ暫定大統領の支持者の集会、7月22日) Edgard Garrido-Reuters
昨日ランチに出かけた先で、ホンジュラスを担当する米外交官と出くわした。「おかしな状況だ。ホンジュラス政府はアメリカやヒラリー・クリントン、ブラジル、ミチェル・バチェレ(チリ大統領)といった全世界を敵に回しているのに、まるでそれを楽しんでいる。ホンジュラスが今までこんなに注目されたことはない」と、彼は言った。
ホンジュラスは、「ブチ切れ外交の『孫子』」とも言うべき北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記から小国外交の「第1課」を学んだのかもしれない。すなわち「大国を揺さぶれば揺さぶるほ
ど、利益を得ることができる」。ホンジュラスは大した圧力をかけている訳ではないのに、どこに行っても仰々しく報道カメラがついて来る。
もし北朝鮮が核兵器を持たず、農業しか産業のない貧しく孤立した独裁国家だったら、おそらくGDP(国内総生産)で同レベルのカメルーンぐらいの知名度しかないだろう(同レベルのキプロスやイエメンは、国際的に腫れ物扱いされることで注目を集めている)。
いずれにしてもその外交高官は、注目されることに慣れすぎないようホンジュラス政府に忠告したそうだ。ホンジュラスへの関心は既に薄れ始めている。それでもまだ問題があるのは、北朝鮮やパキスタン核開発の父アブドゥル・カディル・カーン博士に電話を1本かけて核兵器を手にすれば、ホンジュラスでも世界第1級の厄介者としての権利と特権を享受することができるからだ。
[米国東部時間2009年07月22日(水)15時18分更新]
Reprinted with permission from David J. Rothkopf's blog, 23/07/2009. © 2009 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.