最新記事

イタリア

集団セックス殺人、21歳被告の迷走

アメリカ人留学生アマンダ・ノックスが法廷で証言「何が現実か分からなくなった」

2009年6月22日(月)16時57分
バービー・ナドー(ローマ支局)

被告の1人として法廷で証言するノックス(6月12日) REUTERS/Daniele La Monaca

 イタリア中部ペルージャで、イギリス人留学生メレディス・カーチャーが自宅で集団セックスを強要された上、惨殺されたのは07年11月のこと。イタリアでは先週、この事件の裁判が高い注目を集めた。被告の1人でカーチャーのルームメイトだったアメリカ人留学生、アマンダ・ノックス(21)が証言台に立ったからだ。

 清楚な印象の白いブラウスで現れたノックスは落ち着いた様子で6時間近い証言を行った。彼女は殺人の罪に加え、無実の知人パトリック・ルムンバを犯人として名指しした件でも罪に問われている。

 なぜ彼の名前を出したかという質問に、ノックスは警察に厳しく尋問されたからだと答えた。弁護士の同席なしに夜通しの尋問を受けた末、ルムンバが犯人だとする供述書にサインするまで脅されたり頭をたたかれたりしたという。「何が想像で、何が現実か分からなくなった」とノックスは語った。

 ノックスを尋問した警官は今年2月に行った証言で、彼女には厳格に接したものの暴力を振るったりはしなかったし、朝食まで提供したと主張した。

 事件当夜のアリバイについても、当初ノックスは自宅にいたと供述していたが、法廷ではイタリア人の恋人ラファエル・ソレチトの家に泊まったと証言。警察では「頭が混乱して、だんだん自分がその場にいたんじゃないかと思い始めた」と、ノックスは語った。

 彼女をめぐる謎はまだ多い。カーチャーの血液とノックスのDNAが家のあちこちから検出されたのはなぜか。カーチャーのDNAが検出されたナイフの柄の部分から、ノックスのDNAが発見されたのはなぜか。今後も公判の行方を見守るしかない。

[2009年6月24日号掲載]

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 3
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 6
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 7
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 8
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 9
    注目を集めた「ロサンゼルス山火事」映像...空に広が…
  • 10
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中