息がぴったり、ISISと米共和党
イスラム教を戦争の宗教と決めつけ、宗教対立を煽る共和党大統領候補はIS指導者バグダディの応援団だ
負傷説もあるが バグダディの演説はISISに強い影響力を持つ(写真は2014年7月)Social Media Website-REUTERS
2016年米大統領選の最も熱い争点の1つは、イスラムの名を借りたテロや虐殺とどう戦うかだ。オバマ大統領とヒラリー・クリントン前国務長官は、こうした暴力をイスラム的と呼ぶことを拒否。イスラム教徒はISISやアルカイダの仲間ではなく犠牲者だと主張する。
一方、大統領選に出馬表明している共和党議員らは、ジハーディスト(聖戦士)の暴力とイスラム教を別物とする見方は青臭くて意気地がなく危険だと主張する。「テロリストをテロリストと呼べる最高司令官がアメリカには必要だ」と、ウィスコンシン州知事のスコット・ウォーカーは言う。またマルコ・ルビオ上院議員は、かつてソ連を「悪の帝国」と呼んだレーガン元大統領のような強い姿勢を誓う。
ソ連の政治的経済的な抑圧に対する批判をレーガンが一瞬もためらわなかったのと同じく、中東の惨劇の元凶を名指しすることをためらってはならない。その元凶はイスラム過激派だ。
共和党は敵をイスラムと呼ぶだけではない。彼らはクリントンとオバマが唱える「共存」も批判する。先週サウスカロライナで行われた会議で、彼らはそうした幻想を笑い飛ばし、イスラムに対する嘲りを繰り返した。元ヒューレット・パッカードCEOで共和党の大統領候補指名を目指すカーリー・フィオリーナは、クリントンが「宗教的寛容」と「キリスト教徒が首を切られ磔刑に処されているときに敵に共感する必要」を説いた説明を求めた。
こうした論理を使う共和党議員は、自分が強く振舞っているつもりでいる。だが実際には、敵を利しているのだ。彼らはISISに対し、アルカイダにしたのとまったく同じことをしている。新兵募集やソーシャルメディアを通じたプロパガンダ、政治戦略に手を貸している。ある意味、ISISと共和党は息がぴったり合っているといえる。
嘘だと思うならISISの指導者アブ・バクル・アル・バグダディに聞いてみればいい。ISISは先週、バグダディの演説ビデオを公開したが、彼は共和党の強硬派と同じことを言っている。