最新記事

アメリカ政治

「ヒラリー大統領」待望論が高まる理由

2016年の大統領選に向けて、冴えない共和党を尻目にクリントン前国務長官が独走中だが

2014年6月9日(月)12時14分
前川祐補(本誌記者)

今度こそ? 民主党内で圧倒的な支持を集めるクリントン Isaac Brekken/Getty Images

 就任6年目を迎えたオバマ米大統領の不人気が続く。昨年8月以降、不支持率が50%を超えているのは、シリア内戦での「レッドライン」をめぐる迷走や、医療保険制度改革法(オバマケア)のネット登録での不手際などの失点を補う目立った成果がないからだ。

 そんななか、アメリカは政治の季節を迎えた。全下院議員と上院議員の約3分の1を改選する今年11月の中間選挙、さらに16年の大統領選に向けた候補者レースに注目が集まっている。

 ピュー・リサーチセンターとUSAトゥデー紙が先月行った合同世論調査によると、中間選挙で共和党を支持すると回答したのは47%で、民主党の43%を上回った。このまま行けば、共和党は上下院で過半数を獲得し、現在の「ねじれ議会」を解消できそうだ。

 ただし大統領選となると、共和党はぱっとしない。米FOXの世論調査によると、いま大統領に最も近いのがヒラリー・クリントン前国務長官だ。支持率49%で、共和党の有力候補者たちを10ポイント以上引き離している。

ブッシュ家とクリントン家の戦いに

 共和党の面々はどれも冴えない。ニュージャージー州のクリス・クリスティー知事は「共和党を救う男」と期待されていた。しかし知事選で自分を支持しなかった州内の市長に対し、交通規制で同市の道路を渋滞させる、という子供じみた報復を仕掛けたことが今年明らかになった。

 テッド・クルーズ上院議員は昨年、オバマケアの予算審議の打ち切りを求め21時間も議会演説を行い、全米の注目を集めた。ただ過激なこの手法には、共和党内からもあきれる声が出た。

 期待が集まっているのがブッシュ前大統領の弟、ジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事。2人の大統領を輩出した名家の知名度は抜群だが、本人はまだ出馬を表明していない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、情報漏洩巡り安保チーム擁護 補佐官「私

ビジネス

米、輸出制限リストに中国などの80団体追加 「技術

ワールド

豪CPI、2月前年比+2.4%に鈍化 5月利下げ観

ワールド

ブラジル経済閣僚、今年後半に利下げに転換する可能性
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取締役会はマスクCEOを辞めさせろ」
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 5
    「トランプが変えた世界」を30年前に描いていた...あ…
  • 6
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 7
    トランプ批判で入国拒否も?...米空港で広がる「スマ…
  • 8
    老化を遅らせる食事法...細胞を大掃除する「断続的フ…
  • 9
    【クイズ】アメリカで「ネズミが大量発生している」…
  • 10
    「悪循環」中国の飲食店に大倒産時代が到来...デフレ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 5
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 6
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
  • 7
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「レアアース」の生産量が多…
  • 10
    古代ギリシャの沈没船から発見された世界最古の「コ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中