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スマートフォンスマホに夢中で誰も銃に気付かなかった
スマートフォンやタブレット端末に没頭するあまり、撃たれるまで周囲を意識しなくなる危うさ
みんな夢中 会話中もスマートフォンは手放せない Lucas Jackson-Reuters
以下は、サンフランシスコ・クロニクル紙のビビアン・ホーの驚くべきリポート。
「サンフランシスコ市営鉄道に乗っていた男が、混雑した車内で45口径の拳銃を取り出した。男は銃を何度も出し、あちこちに向けた。周囲には多くの乗客がいたが、誰も男に反応しない。スマートフォンとタブレット端末に夢中で、学生の背中に男が発砲するまで銃に気づかなかった」
事件の日の監視カメラの映像によれば、サンフランシスコ州立大学の学生、ジャスティン・バルデズ(20)は犯人と無関係なのに殺された。 当局はニコム・テパケイソン(30)を容疑者として逮捕。検察官によれば、容疑者は無差別殺人の獲物を探していたようだという。
スマートフォンが普及する以前、列車の乗客はこんなに何かに没頭していただろうか? 本か雑誌ならそうかもしれない。しかしサンフランシスコ州検察官のジョージ・ガスコンは、「テクノロジーが問題を悪化させている」とクロニクル紙に語った。「(犯人は)動きを隠していなかった。銃ははっきり見えている。乗客たちは犯人のすぐ近くにいたが、だれも銃を見ていない。メールを書いたり読んだり、いろんなことをするのに夢中になっていたんだ」
当局は、文章入力やウェブページの閲覧、ゲームなどの習慣のせいで、引ったくり犯に対し無防備になっていると長年警告してきた。だがガスコンは、外の世界を遮断してキャンディークラッシュに夢中になっているとき、スマートフォン利用者は近隣者も危険にさらしていると主張した最初の人間の1人だ。彼はおそらく正しい。
小さな画面、小さなボタン、とりわけヘッドホンを装着しているさまは、ページの端を折ったペーパーバックや朝刊に顔を埋ずめている姿よりも外の世界から隔絶されて見える。さしあたっての解決法は、グーグル・グラスに拳銃を検出するソフトウエアを搭載するぐらいしかなさそうだ。そのうち監視カメラが銃器をすぐに認識でき、何らかの警報を鳴らすようになるのかもしれない(誤警報が厄介になるだろうが)。
あるいは――これからは頭を上げて現実世界に目を向ける、そんな努力をちょっとしてみるのはどうだろうか。
© 2013, Slate