最新記事

米犯罪

米銃乱射事件ワースト11

繰り返される無差別殺人。一般市民が犠牲になる悲劇の系譜と記憶

2013年9月17日(火)18時03分
カイル・キム

動機は不明 今週初めにワシントンで銃乱射事件を起こして死んだアーロン・アレクシス Reuters

 またアメリカで銃乱射事件が起きた。今回はワシントンDCの、ホワイトハウスからわずか10分の距離にある海軍施設でのことだ。事件の全容はまだ不明だが、少なくとも13人が死亡、12人が負傷する惨事になった。

 FBIによると、銃を乱射し既に死亡した容疑者の1人はテキサス州出身のアーロン・アレクシスと分かったが、犯行動機などは不明のまま。もう1人の容疑者は逃走中だ。

 だが、今さら珍しい話ではない。過去の銃乱射事件ワースト11を振り返れば、アメリカは常習国以外の何物でもない。その悲劇の系譜を紹介する。

■11位 コロラド州オーロラ 死者12人(2012年8月)

バットマン原作の映画『ダークナイト・ライジング』が上映中の映画館内で、地元の大学院生が催涙ガスを投げた後に銃を乱射。犯人のジェームス・ホームズ(当時24)は映画の中の銃撃シーンに合わせて発砲したとされる。

■10位 ニュージャージー州カムデン 死者13人(1949年9月) 

退役軍人のハワード・アンルーが、近所を無表情で歩きながら子どもを含む犠牲者に20分間にわたって銃弾を浴びせた。精神分析の結果、隣人が彼のことを同性愛者だと思っているとアンルーが感じていたことが分かった。

■9位 テキサス州フォートフッド 死者13人(2009年11月)

陸軍精神科医ニダル・ハサンが米テキサス州フォートフッド陸軍基地で銃を乱射。先月、軍事法廷で死刑判決が言い渡された。熱心なイスラム教徒で、イスラム教徒と戦う米軍から除隊したがっていたという。

■8位 ニューヨーク州ビンガムトン 死者14人(容疑者含む、2009年4月)

ベトナム系移民のジバリー・ウォン(当時41)が英語を学んでいた移民センターで銃を乱射。英語が上達しないことや就職先が見つからないことへの焦燥感から犯行に及んだと見られているが、真相は分かっていない。本人は自殺。

■7位 コロラド州コロンバイン高校 死者15人(容疑者含む、1999年4月)

学校での銃乱射事件としては最も知られた事件だろう。同校の学生エリック・ハリスとディラン・クレボルドによる犯行。2人共、校内で銃を撃ちまくった後に自殺した。当初は落ちこぼれによる犯行とされたが、FBIの調査ではハリスは精神病質者、クレボルドをうつ病患者と断定された。

■6位 オクラホマ州エドモン 死者15人(容疑者含む、1986年8月)

郵便局の配達員だったパトリック・シェリル(当時44)が同僚らに向かって発砲。クビにされると思い込んで犯行に及んだとみられている。

■5位 テキサス州テキサス大学 死者17人(容疑者含む、1966年8月)

元海兵隊の狙撃主だったチャールズ・ウィットマン(当時25)が大学校内の時計台から発砲。警察の狙撃主に撃たれるまで乱射は続いた。遺書と見られるメモには「最近自分がよく分からない」などの言葉が残されていた。

■4位 カリフォルニア州サン・イシドロ 死者22人(容疑者含む、1984年7月)

「人を狩りに行く」と言い残して家を出たジェームス・ヒュバティー(当時41)がマクドナルド店で銃を乱射。犠牲者の中には5人の子どもが含まれていた。

■3位 テキサス州キリーン 死者24人(容疑者含む、1991年10月)

ジョージ・ヘナード(当時35)がトラックごと市内のカフェ「ルビー」に突っ込んだ後に撃ち出した。「ベル群に対する仕返しだ」などと叫びながら10分間に100発以上を乱射した。職場を解雇されたことに対する恨みから犯行に及んだと見られているが、真相は謎のままだ。

■2位 コネチカット州ニュータウン 死者28人(容疑者含む、2012年12月)  
アダム・ランザ(当時20)がサンディフック小学校で銃を乱射。事件の前には自分の母親も撃ち殺していた。母親がランザの意思に反して精神病院に入院させようとしたことへの恨みなどが犯行に及んだ背景にあるとされている。

■1位 バージニア工科大学 死者32人(容疑者含む、2007年4月)

学生だった在米韓国人チョ・スンヒ(当時23)が校内の学生寮や講義棟に侵入し、学生や教授らを次々に銃で殺害。数ある銃乱射事件の中でも最悪の犠牲者数を出した事件で、銃規制に批判的な全米ライフル協会ですら銃購入時における審査の厳格化を定めた米下院の法案を支持した。

From GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米中のフェンタニル取り締まり巡る協議難航、トランプ

ワールド

プーチン氏とゼレンスキー氏の双方と取引可能=トラン

ビジネス

日銀、追加利上げ先送りの可能性 米関税巡る不透明感

ビジネス

米経済、世界的貿易戦争で景気後退突入も=仏中銀総裁
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負かした」の真意
  • 2
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学を攻撃する」エール大の著名教授が国外脱出を決めた理由
  • 3
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 4
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初…
  • 5
    アメリカは「極悪非道の泥棒国家」と大炎上...トラン…
  • 6
    日本の10代女子の多くが「子どもは欲しくない」と考…
  • 7
    【クイズ】世界で最もヒットした「日本のアニメ映画…
  • 8
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 9
    トランプの中国叩きは必ず行き詰まる...中国が握る半…
  • 10
    ウクライナ停戦交渉で欧州諸国が「譲れぬ一線」をア…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 4
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初…
  • 5
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 6
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 7
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 8
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はど…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中