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米安全保障狙われた?ボストンの「愛国者の日」
爆破事件が起きた州の祝日「愛国者の日」には、これまでも悲劇的な事件が何度も繰り返されてきた
無差別攻撃 ボストン・マラソンのゴール付近で起きた爆発の瞬間 Reuters
4月15日は、米マサチューセッツ州では「愛国者の日」の祝日にあたる。そしてちょうどこの祝日にあたる昨日、同州で行われていたボストン・マラソンのゴール付近で2度の爆発があり、3人が死亡、100人以上が負傷する事件が起きた。
事件を受けて声明を発表したバラク・オバマ大統領はその点を強調し、「この日は、アメリカが生まれた当時からボストンという偉大な都市が受け継いできた自由と熱烈な独立の精神を祝う日だ」と語った。犯人はいまだ不明だ、とも。
事件の起きた日が、アメリカにとって意義深い祝日だったと指摘したのはオバマが初めてではない。ツイッターなどでは、毎年マラソンが開催されるこの祝日に事件が起きたことに、特別な意味があるのではないかとささやかれている。
ここで簡単に愛国者の日についておさらいしておこう。この日は、1775年4月に行われたアメリカ独立戦争の緒戦であるレキシントン・コンコードの戦いを記念したものだ。今ではマラソンが行われる日として有名で、「マラソン・マンデー」とも呼ばれている(9・11同時多発テロを記念した「愛国の日」と混同しないように)。
事件後すぐにこの祝日の意味に注目が集まったのは、これまでにもこの祝日の前後には人々の記憶に深く刻まれる悲劇的な出来事が、何度も繰り返されてきたからだ。
オクラホマシティ連邦政府ビル爆破事件(1995年4月19日)、テキサス州ウェーコで宗教団体施設を政府軍が急襲し、火災で74人が死亡した事件(1993年4月19日)、コロンバイン高校銃乱射事件(1999年4月20日)、バージニア工科大学銃乱射事件(2007年4月16日)など。特に、政府軍の攻撃が多くの死者を生んだウェーコの事件により、4月19日は反政府主義者にとって重要な日となった。
マサチューセッツ州では、かつて愛国者の日は4月19日と定められていた。だが先述した一連の事件が起きる以前の1969年、州は祝日を19日から、4月の第3月曜日に変更。これにより(第3月曜がたまたま19日でなければ)、独立戦争の出来事を記念する日がある意味で2日存在することになり、さらに「愛国」と「反政府」という2つの意味も持つようになった。
とはいえ、今回のマラソン爆破事件の犯人や動機が明らかになっていない以上、その背後に祝日と絡めた思惑があったと決めつけるのは危険だ。事件の夜にオバマもこう語っている。「まだ犯人も動機も分かっていない。すべての事実が明らかになるまで、拙速に結論を出そうとすべきではない」
© 2013, Slate