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アメリカ社会もっとオープンになるオバマのアメリカ
政権2期目の目玉として、オバマは不法滞在者1100万人に市民権を与えるなどの改革案を打ち出した
移民の国 大事なのは血縁でも出生地でもなくアメリカへの忠誠心だ、とオバマは語った Jason Reed-Reuters
1月29日、ネバダ州ラスベガスのデルソル高校に意外な人物がやって来た。バラク・オバマ米大統領だ。
不法移民問題を政権2期目の重要課題として掲げるオバマはこの日、自らの包括的な移民制度改革案を発表する演説会場として、ヒスパニック系の生徒が半数以上を占めるデルソル高校を選んだ。
「アメリカは移民の国だ」と、大統領は聴衆に向かって語りかけた。「今こそ常識的で包括的な移民制度改革に取り組むべきだ」
この前日には、共和党のジョン・マケイン上院議員や民主党のチャック・シューマー上院議員ら超党派の有力議員たちが、包括的な移民法案の骨子で合意。オバマはこれを示唆しつつ、「長い年月を経て初めて、共和党と民主党がこの問題に一緒に取り組む気になったらしい」と期待を示した。
「アメリカ人の条件」を問い直す
しかし同時に、「とりとめのない論争のせいで、移民制度改革が滞ることは許されない」とけん制。意見対立が再燃して議会の調整がなかなかつかない事態となれば、自分の提案内容で法案成立を主導すると、強い姿勢を示した。すると、会場からは歓声が沸き上がった。
今回の改革案で、オバマは三つの大きな柱を打ち出した。1つ目は、国境警備や違法な就労の取り締まりの強化。2つ目は、1100万人に上る不法滞在者に市民権の付与を認める道を開き、具体的な申請の条件やプロセスを定めること。そして3つ目は、市民権を取得した住民が国外の家族を呼び寄せたり、外国人学生が卒業後にそのままアメリカで事業を始めたりしやすくなるよう、制度を改革することだ。
「この問題に力を入れるほど、感情的な論争が高まるだろう」とオバマは語った。「アメリカ国民である『我々』と、移民である『彼ら』。そんな感覚で議論が広がりがちだ。かつては『我々』も『彼ら』だったことは簡単に忘れてしまう。先住民でない限り、誰もがどこかからやって来たのに」
そして、こう訴えた。「アメリカ人の条件は血縁や出生地だけじゃない。国の基盤となる原則に忠実であることだ。これは単なる政策の議論ではなく、人間に関する議論なのだ」
From GlobalPost.com特約