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原油流出高速の海流に乗って夏にも大西洋岸に到達か
メキシコ湾での原油流出事故が最悪のシナリオに陥りつつあることを政府機関の科学者が認めた。早ければ夏にも、原油はメキシコ湾岸をはるかに越え、大西洋岸に沿って何千キロも広がり、さらに外洋に達する可能性が高いという。
大気研究所(NCAR)の科学者らがコンピューターの海流モデルでシミュレーションしたところ、メキシコ湾の高速の海流「ループカレント」に原油が一旦流れ込めば、数週間以内にフロリダ半島の大西洋沿岸に到達する可能性が高いとの結論に達した。さらにメキシコ湾流に乗って北に広がり、ノースカロライナ州のハッテラス岬に到達、そこから東に向かって外洋に拡大しかねないという。
「われわれが知る限り、この環境災害の範囲はフロリダのずっと先まで広がるだろう」と、NCARのシンティ・ピーコックは述べた。「その影響はまだ分からない」
シミュレーションは、事故現場で流れ出た液体がどのように拡散するかを計算したもので、流出する原油の量は計算に含まれていない。実際に汚染拡大がどの方向に進むかは、天候と変わりやすいループカレントに影響される。原油がループカレントに乗れば1日に65キロ、メキシコ湾流に乗れば1日に160キロ移動する。
[2010年6月16日号掲載]