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野放しネット選挙、じわり規制の波

怪しげなオンライン広告やSNS選挙運動を規制する動きが州レベルで出始めた

2010年6月1日(火)15時43分
トニー・ダコプル

 ソーシャル・メディアは長い間、政治的策略の温床になってきた。だが米連邦選挙委員会(FEC)は、怪しげなオンライン活動の大半──偽の「草の根運動」的な選挙運動、正体不明のツイッター投稿、フェースブックの匿名ページなど──に伝統的な規制を適用してこなかった。

 こうした抜け穴が、少なくとも州レベルではふさがれるかもしれない。11月の中間選挙を控え、4つの地方選管が取り締まりを検討している。立候補者やその選挙運動団体によるオンライン広告やソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の使用を初めて制限しようとしているのだ。

 規制の動きが始まったのは昨秋のこと。フロリダ州セントピータースバーグのある市長選候補者が、グーグルで対立候補を検索すると出てくる自身の広告に広告主を記していなかったため、250ドルの罰金を科せられた。

 続いてウィスコンシン州が、オンライン広告の指針を作るよう州政府責任委員会に指示した。カリフォルニア州は同じ問題を検討する特別班を組んだ。メリーランド州は最も進んでおり、選挙運動に関係するすべてのSNSの認証を州政府に義務付けるよう、州選管委員長が今週提案する。このアイデアは支持されているようだ。

 とはいえ、これらの規制は厄介な諸課題を解決するための最初の一歩にすぎない。例えばウェブ広告は、選挙バッジや車のバンパーステッカーと同じように、製作者の情報開示の必要なしとすべきか。ツイッターによる推薦(つまり無料の宣伝)は、選挙資金の寄付と同様に扱われるべきか──。

 究極的には、これらの問題にはFECが取り組むべきだろう。インターネットが州内にとどまることができない以上、それを統制するための努力も州内にとどまることはできない。

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