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愛する家族を殺す男たちの狂気

2010年4月13日(火)14時40分
キャサリン・スキップ(マイアミ支局)、アリアン・カンポフロレス(マイアミ支局長)

 彼らは必ずと言っていいほど、経済的苦境から逃れるには自殺しかないと考える。家族を生活苦から救うため、破産や自殺という不名誉を家族に味わわせないため、彼らは家族を手に掛ける。

 「もうこれしか解決策はない」と、昨年8月に妻と子供2人を殺して自殺したアリゾナ州の弁護士ラッセル・ギルマンは遺書に書いた。家計破綻が引き金だった。

 思いやり型の殺害方法からは、身勝手ないたわりの気持ちも読み取れる。07年に妻と息子を殺害した後に首つり自殺した人気プロレスラーのクリス・ベノワは、鎮静剤を飲ませてから息子を絞殺したといわれている。

 家族殺しの犯人の研究者は、自分たちの研究結果を警察やソーシャルワーカーに役立ててほしいと考えている。支配型にはたいてい過去に犯罪歴がある。ルイジアナ州で最近発生した事件では、3度目の家族への接近禁止命令を出されていた男が、別居中の妻と子供の命を奪い、自殺した。

 思いやり型については、カウンセラーが鍵になるとウェブズデールは言う。鬱状態の患者をカウンセリングするときは、患者の経済状況や、自殺や家族の殺害を考えている可能性があるかどうかを探るようアドバイスしている。「理想的な一家の大黒柱になれない自分は人生の敗者だ──こんなふうに恥じているかどうか探るのも役立つだろう」と言う。

 こうした警戒態勢が広がれば、家族を手に掛ける殺人犯の「予備軍」を、おぞましい衝動から遠ざけられるかもしれない。 

[2010年3月17日号掲載]

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