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夜のお相手は女ロボット

セクシーな人間型のセックスロボット「ロクシー」は相手の行為に音声で応えたり愛を伝えたりできるが……

2010年4月9日(金)14時15分
ベロニカ・ベルモント

 新しいハイテク製品について記事を書くときは多少なりとも自分で使ってみることを心掛けている私だが、さすがに「ロクシー・トゥルーコンパニオン」が相手ではそうもいかない。

 ロクシーはハイテクな「大人の玩具」。1月にラスベガスで開催された見本市「アダルト・エンターテインメント・エキスポ」で発表され、セックス産業の関係者の間で、そしてロボット関係のブログで大きな話題になった。

 生みの親のダグラス・ハインズに言わせれば、ロクシーは現時点で最もリアルな「セックスロボット」だ。「大人っぽいマーサ」「冷たいファラ」「ワイルドなウェンディ」といったいくつかの性格がプログラミングされていて、ユーザーの好みに合わせて調整も可能。インターネットを介して他のユーザーと共有することもできる。

 触られたときに反応したり、相手の行為に音声で応えるソフトも搭載されている。使われている技術そのものも興味深いが、もっと気になるのは、性の分野に応用された人工知能が生身の人間のセックス観にどんな影響を与えるかということだ。

 ロクシーの価格は7000~9000ドルで、大衆市場に受け入れられるほど安くはない。だが技術が進歩し部品の価格が下がれば、この手の製品はもっと一般化するだろう。そうなったら、ベッドルームにおける生身の女性の役割は過去のものになってしまうのだろうか?

 サンフランシスコ・クロニクル紙にセックスに関するコラムを書いているバイオレット・ブルーの見方では、ロクシーは女性にとって脅威にはなり得ない。「一部の限られた人々は、生身の相手よりも幻想の恋人と関係するほうに幸せを感じる。それは彼らの(性的)志向が親密な人間同士の関係に向いていないからだ」。そして、そうしたタイプの人々は生身の女性との出会いなど、はなから求めてはいない。

 ロクシーのような人間型ロボットには、気味の悪さを感じる人も多いだろう。われわれは、自分たちにあまりにも似せて作られた人工物を見ると不安を覚える。例えばCGアニメ映画『ポーラー・エクスプレス』の登場人物たちを見るときのように。これがいわゆる「不気味の谷現象」だ。

 この現象を解決するには2つの方法がある。1つはあえて玩具っぽく作ること。もう1つは、『オースティン・パワーズ』でエリザベス・ハーレーが演じた女性型ロボット並みに、人間らしい外見を完璧に作り上げることだ。

話の種に買ってみては?

 これが可能になるのはまだ当分先だろうが、一方で女性型ロボットが自意識を持つようになり、ある種の「性的反乱」を起こすのではという懸念もなくはない。小さな懸念だが、一応心構えはしておいたほうがいい。

 人間型ロボットはロクシーが初めてではなく、これまでにもさまざまなものが作られてきた。ロボット的なダッチワイフも既に存在する(運動機能についてはロクシーより上だ)。ロクシーの男性版「ロッキー」の開発も進行中だ。

 さらに言えば、この手のセックスロボットが時代遅れの代物になる日もそう遠くはなさそうだ。既存の技術でもさらに高度な人型ロボットを作ることは可能だからだ。

 いい例がカナダの「プロジェクト・アイコ」だ。アイコはセックスロボットではないが、痛みに反応したり、人の顔や言葉を識別できる。開発者は数年のうちに、アイコに二足歩行をさせたいと考えている。そしていつか、アイコに使われた技術をセックスロボットに応用する人が出てくるはずだ。

 しかしロクシーの販売元であるトゥルーコンパニオン社は、ロクシーは人格を持つ点で類似品とは大きく異なると主張している。「(ロクシーは)会話したり愛を伝えたりすることもできるし、忠実な友人にもなってくれる」。だが彼女は、激しい愛の行為の後に水の入ったグラスを持ってきてくれることはない。

 大きな話題にはなったが、結局のところロクシーは最新型のダッチワイフにすぎない。私は今回の騒ぎを見て、数年前に自立型スクーターのセグウェイが登場したときのことを思い出した。どちらも見た目は派手で先進のエレクトロニクスを搭載しているが、世の中を変える力はほとんどない。

 とはいえ、自由になる金が7000ドルもある人なら、ディナーパーティーの話の種に買ってみるのもいいかもしれない。

(Slate.com特約)

[2010年3月10日号掲載]

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