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米外交民主党敗北は外交危機につながるか
マサチューセッツ州の選挙結果は国際関係に影響する? 無視していい理由と、無視できない理由
意外な影響 勝利したブラウンは外交政策ではオバマ寄り(1月20日の会見で) Adam Hunger-Reuters
1月19日、マサチューセッツ州の連邦上院補選で共和党候補が民主党候補を破ったことは、バラク・オバマ大統領の国内政策にどのような影響を及ぼすのか――ワシントンの政界では、この点について誰もが500語で語るべきことを考えている。しかし今回の選挙結果がオバマの「外交政策」にどう影響するかについても、考えてみる価値がある。
共和党候補の勝利は、世界にとって何を意味するのか。世界の政策立案者はどう反応するのか。
簡単に答えるなら、何の影響もないだろう。これは単なる上院の補選にすぎない。それに勝利した共和党のスコット・ブラウン州議会上院議員は、実は外交政策に関しては敗れた民主党のマーサ・コークリー同州司法長官よりもオバマ寄りともいえる。ブラウンはオバマのアフガニスタン政策を支持しているが、コークリーは反対している。
今回の補選では、外交政策は焦点にはならなかった。となればもちろん、共和党の勝利が国際関係に大きく影響することはないだろう。
オバマの国際交渉を妨害する可能性
だが、話はそう簡単には終わらない。選挙の結果は国内におけるオバマの政治力を測るものでもあるからだ。共和党が勝利したことで、外国の首脳はこれをアメリカ国民のオバマへの離反だと受け止めるだろう。
外国(特に選挙政治にそれほど慣れていない国)の指導者たちが、民主党の敗北を次のように解釈することは確実だ。
第1に、オバマの国内での政治力の低さ。第2に、アメリカではポピュリスト的な怒りが根深いということ。こうした怒りは、外交政策においては保護主義や孤立主義、もしくは「皆殺しにして後は神に解決してもらおう」という攻撃的姿勢につながりかねない。
今回の選挙結果に外国がどう反応するかについては、さまざまな要因がからんでくる。共和党よりもオバマや彼の外交政策を支持するなら、これまで以上にオバマ政権寄りの立場を取るかもしれない(要するにヨーロッパのことだ)。反対にアメリカの外交政策が今よりタカ派であることを好むなら(イランやベネズエラがそうだ)、より挑発的になり、オバマ政権が弱体化しているように見せようとするかもしれない。
今回の選挙で1つだけ確かな影響があるとすれば、条約の締結など立法がからむ国際交渉を妨げるということだ。例えば昨年12月に失効したアメリカと旧ソ連間の第1次戦略兵器削減条約(START1)の後継条約もその1つ。敗れた民主党は上院での議事妨害を回避する安定多数を失った。オバマが超党派の支持を取り付ける保証がないかぎり、他国は交渉に掛ける費用を無駄だと感じるだろう。
Reprinted with permission from Daniel W. Drezner's blog, 19/01/2010. © 2010 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.