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米機テロ未遂爆破テロ容疑者が搭乗できた本当の理由
国土安全保障省の強力なテロ容疑者データベースを、誰も見ていなかったのはなぜか
適切な情報もうまく使わなければ宝の持ち腐れだ。アメリカ行きの国際線旅客機の乗客名簿を離陸前にチェックしている米国土安全保障省の当局者は、テロ容疑者に関する政府の機密マスターデータベースを利用できる。しかし、離陸許可を出す前にそれを確認することはめったにない。
ワシントン郊外にある国立監視センターは、国土安全保障省の一部である税関・国境取締局に属している。同省関係者によると、国立監視センターの一室で航空機の乗客名簿を事前チェックする担当者は機密データベースにアクセスする権限を持つ。
そうした機密データベースの1つが国家情報長官の管轄下にあるTIDE。テロ容疑者に関する政府の情報源としては最も対象範囲が広いとされる。
09年12月25日、オランダのアムステルダム発デトロイト行きのノースウエスト253便で爆破テロ未遂事件が起きた。ウマル・ファルーク・アブドゥルムタラブ容疑者の父親は、イスラム過激派に傾倒している息子を案じて、ナイジェリアの米大使館に通報していた。TIDEを管理する国家テロ対策センターは、大使館からの報告を受けてTIDEに情報を登録した。
複数のデータベースの隙間に落ちて
TIDEに登録されたテロ容疑者の名前はその後、機密扱いでないデータベースにも入力される。搭乗拒否リスト(4000人弱を登録)やテロリスト審査監視リスト(40万人以上)などだ。離陸前の乗客名簿チェックによく使われるのはこうしたリストだ。
米当局者によると、TIDEにアブドゥルムタラブの名前があっても、他の情報源による裏付けがなかったので、より頻繁に使われる乗客審査データベースには登録されなかったという。国土安全保障省の関係者は具体的なコメントを避けたが、離陸前に乗客名簿をTIDEと照合する作業は必須業務ではなかったらしい。
オランダ当局によれば、爆破未遂のあった旅客機の乗客名簿は米当局によって問題なしと判断された。そしてクリスマスの日、同機はアブドゥルムタラブを乗せてデトロイトへと飛び立った。
[2010年1月13日号掲載]