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米外交米元儀典長、オバマのお辞儀に賛否
オバマ米大統領が日本の天皇に深々とお辞儀した問題で、米国務省で儀典長を務めた経験がある2人の人物に意見を聞いた。
■ロイド・ネルソン・ハンド
リンドン・ジョンソン大統領に仕えた儀典長(1965〜66)
別に誤りではない。外交儀礼とは、訪問国の伝統と習慣に従うよう努めること。頭を下げるのは日本では社会的にもビジネス上でも伝統であり、尊敬の表現だ。
イギリス女王の前ではアメリカの大統領たちは頭を下げ、ファーストレディーや女性大使は片膝を曲げて尊敬の念を表現する。ニクソン大統領が昭和天皇に会ったときもお辞儀をしていたではないか。
ジョンソン大統領の時代、訪米したイタリアの首相も深いお辞儀をした。そして首相のこの姿を見たイタリア国民も同じような賛否両論の反応を示したものだ。
オバマは少しばかり深く頭を下げ過ぎたかもしれない。しかし私たちは世界で起きているさまざまな問題に取り組んでいるところだ。そんなときに頭を下げるのは8センチにすべきだ、いや15センチだなどと論じていていいのだろうか。こんなことで騒ぐのはまったく無意味だし、オバマは外交儀礼に反してなどいない。
■ヘンリー・カットーJr.
ニクソン大統領とフォード大統領に仕えた儀典長(1974〜76)
国家の長たるものは互いに頭を下げるべきではない。オバマはアメリカ合衆国のトップで、天皇は日本のトップ。同じ立場にいる相手に頭を深々と下げるのは間違っている。
お辞儀とは、するほうが力関係で劣っていることを表すものだ。相手が日本人であれ誰であれ、示すべき態度ではない。握手ならまったく問題ない。オバマは天皇と握手もした。おそらく(批判に備えて)逃げ道をつくったのだろう。
オバマは体を本当に低くした。それだけで不適切だ。誰かのアドバイスなのか、それとも自分の考えでやったのだろうか。ニクソンもフォードも日本の天皇にお辞儀をするなんてことは考えもしなかった。
71年に昭和天皇と会見したときのニクソンのしぐさについてだが、私はあれをお辞儀とは呼ばない。ただ体をかがめたにすぎない。背の高い人間が低い人間と話すときには、お互いに声が聞こえやすいように身をかがめるものだ。
[2009年12月 2日号掲載]