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科学オバマの肌が白っぽく見える人たち
「保守的な人ほどオバマの肌を黒く感じる」という衝撃的な実験結果は何を意味するのか
注目の顔 リベラル派の目に映るオバマと保守派の目に映るオバマでは肌の色が違う? Jason Reed-Reuters
バラク・オバマ大統領の政策をめぐってリベラル派と保守派の意見が対立するのは周知の事実。だが、行動科学の専門家であるシカゴ大学経営大学院のユージン・カルソ助教に言わせれば、そうした見解の相違が生じるのは、実はものの見え方そのものが違うせいかもしれない。
カルソとニューヨーク大学のエミリー・バルセティス、ティルバーグ大学の二コール・ミードは、複数のオバマの写真を大学生に提示し、「オバマらしい」写真を選ばせるという実験を行った。
提示する写真は、デジタル処理で肌の色を実物より白く変えたり、黒く変えたりしたもの。結果は衝撃的だった。
リベラル派を自認する被験者は色白の写真を「オバマらしい」と感じる確率が高く、逆に保守派の被験者は色黒の写真を選ぶ傾向にあった。つまり、政治家の思想に共感しているほど、その人物の肌の色が白っぽく見え、共感できない場合ほど黒っぽく感じられるというわけだ。
政治信条によってものの見え方が変わるという研究成果について、ニューズウィークのアンドルー・ロマーノがカルソに話を聞いた。
──実験はどのように行われたのか。
支持政党によって世界の見え方がどう変わるのかを調べるために、バラク・オバマの写真を多数集め、デジタル処理で肌の色を明るくしたり、暗くしたりした。それを被験者に見せ、各写真がどの程度オバマらしいかを数値で評価させた。すると、リベラルな政治信条をもつ被験者は色白のほうがオバマらしいと判定し、保守派の被験者は色黒のほうがオバマらしいと答えた。
──リベラル派と保守派の差異はどの程度か。
オバマらしさを7ポイントのスケールで分類しただけなので、差異を数値化するのは簡単ではない。具体性を高めるために、各被験者が最も高い数値をつけた写真を、(その被験者にとっての)「オバマらしい」写真とした。その結果、リベラル派は色白の写真を色黒の約5倍の確率で「最もオバマらしい」と感じ、保守派は色黒の写真を色白の2倍の確率で「最もオバマらしい」と感じることがわかった。
──「オバマらしさ」を左右するのは肌の色であって、ポーズや写真の背景、顔の表情などではないと確信できるのか。
とてもいい質問だ。私たちはポーズが異なる3種類の写真を選び、それぞれについて肌の色を加工した。そのうえで、ポーズと肌の色の組み合わせをランダムに選んで提示した。
──つまり、ポーズに関係なく、保守派は2倍の確率で色黒の写真を「オバマらしい」と答えたということか。
その通りだ。
──この結果に驚いた?
多少は。私は自分の思想によって世界の見え方が変わるのか、政治信条の違いが物事や人々の見え方に本当に影響を与えるのかいう点に興味があった。結果はイエスだ。