最新記事

米メディア

NYタイムズを汚す今年最悪のコラム

アフガニスタン戦争の「新応援団長」デービッド・ブルックスが書いた薄っぺらなオバマ批判は、悪質なジャーナリズムの典型だ

2009年11月2日(月)14時53分
スティーブン・ウォルト(ハーバード大学ケネディ行政大学院・国際関係論教授)

問われる信頼性 イラク「大量破壊兵器」報道の教訓は生かされているのか(ニューヨークタイムズ本社) Gary Hershorn-Reuters

 ニューヨークタイムズ紙のコラムニスト、トーマス・フリードマンがアフガニスタン戦争について疑問を呈するようになった今、同僚のデービッド・ブルックスがこの戦争の応援団長を引き継ごうとしている。

 ブルックスの10月30日のコラムによると、彼がさまざまな「軍事専門家」(もちろん誰ひとり名前を挙げていない)に話を聞いたら、何とその全員が、アフガニスタンで重要なことはオバマの「決意」だけと答えたという。それはブルックス自身の根拠なき確信でもある。

 そのコラムには何の分析もない。事実も、賛否両論の比較検討も、費用便益分析も、そしてもちろん取材対象者の開示もない。ブルックスはこの問題に関する最近の研究を1つでも読んだのだろうか。

 アフガニスタン駐留米軍のマクリスタル司令官の戦況報告書を含めて、いずれもアメリカが大変な課題に直面していることを指摘している。戦争継続の賛成派ですら、わが国がさらなる資源を投入し長期間駐留しても、勝利は確実と言うには程遠いことを理解しているのだ。
 
 これがイラク戦争開戦前にニューヨークタイムズを大失態に導いた「ジャーナリズム」だ。ブルックス(と編集者たち)はあの経験で懲りたはずではなかったのか。いや、私は大事なことを忘れていた。ネオコンとは決して過ちを認めず、人命が失われるのを手助けしたことを謝罪しないタイプの人間であることを。

 あのコラムの唯一良いところは、主流派ジャーナリズムの信用を徐々に傷つけているタイプの言動を改めて浮き彫りにしたことだ。私は読んだ瞬間こう思った──(ブロガーの)グレン・グリーンワルドの餌食になるぞ、と。グレンは期待を裏切らない

[米国東部時間2009年10月30日(金)11時52分更新]


Reprinted with permission from Stephen M. Walt's blog, 02/11/2009. © 2009 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:カジノ産業に賭けるスリランカ、統合型リゾ

ワールド

米、パレスチナ指導者アッバス議長にビザ発給せず 国

ワールド

トランプ関税の大半違法、米控訴裁が判断 「完全な災

ビジネス

アングル:中国、高齢者市場に活路 「シルバー経済」
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界がうらやむ国」ノルウェーがハマった落とし穴
  • 4
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 5
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 6
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 7
    「人類初のパンデミック」の謎がついに解明...1500年…
  • 8
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 9
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 10
    「体を動かすと頭が冴える」は気のせいじゃなかった⋯…
  • 1
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 2
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 3
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 4
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が…
  • 5
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 6
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 7
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 8
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 9
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 10
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中