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米メディアNYタイムズを汚す今年最悪のコラム
アフガニスタン戦争の「新応援団長」デービッド・ブルックスが書いた薄っぺらなオバマ批判は、悪質なジャーナリズムの典型だ
問われる信頼性 イラク「大量破壊兵器」報道の教訓は生かされているのか(ニューヨークタイムズ本社) Gary Hershorn-Reuters
ニューヨークタイムズ紙のコラムニスト、トーマス・フリードマンがアフガニスタン戦争について疑問を呈するようになった今、同僚のデービッド・ブルックスがこの戦争の応援団長を引き継ごうとしている。
ブルックスの10月30日のコラムによると、彼がさまざまな「軍事専門家」(もちろん誰ひとり名前を挙げていない)に話を聞いたら、何とその全員が、アフガニスタンで重要なことはオバマの「決意」だけと答えたという。それはブルックス自身の根拠なき確信でもある。
そのコラムには何の分析もない。事実も、賛否両論の比較検討も、費用便益分析も、そしてもちろん取材対象者の開示もない。ブルックスはこの問題に関する最近の研究を1つでも読んだのだろうか。
アフガニスタン駐留米軍のマクリスタル司令官の戦況報告書を含めて、いずれもアメリカが大変な課題に直面していることを指摘している。戦争継続の賛成派ですら、わが国がさらなる資源を投入し長期間駐留しても、勝利は確実と言うには程遠いことを理解しているのだ。
これがイラク戦争開戦前にニューヨークタイムズを大失態に導いた「ジャーナリズム」だ。ブルックス(と編集者たち)はあの経験で懲りたはずではなかったのか。いや、私は大事なことを忘れていた。ネオコンとは決して過ちを認めず、人命が失われるのを手助けしたことを謝罪しないタイプの人間であることを。
あのコラムの唯一良いところは、主流派ジャーナリズムの信用を徐々に傷つけているタイプの言動を改めて浮き彫りにしたことだ。私は読んだ瞬間こう思った──(ブロガーの)グレン・グリーンワルドの餌食になるぞ、と。グレンは期待を裏切らない。
[米国東部時間2009年10月30日(金)11時52分更新]
Reprinted with permission from Stephen M. Walt's blog, 02/11/2009. © 2009 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.