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米軍事イランを攻撃すればアフガンで負ける
米軍がイランを攻撃すれば、イランは隣国アフガンの反政府勢力を支援する。米政府内に高まる対イラン強硬論の愚か度
米政府への先制攻撃 イラン攻撃論を牽制したマクリスタル(右)の声はオバマに届くか(10月2日、コペンハーゲンで) Pete Souza-The White House
私はこの数カ月間、ブログでイランとアフガニスタンの問題をたびたび取りあげてきた。だが、2つの問題の関連を強調するという努力を怠ってきた。
ニュースサイト「ワシントン・インディペンデント」の記者スペンサー・アカーマンが先日指摘したように、アフガニスタン駐留米軍のスタンリー・マクリスタル司令官が先週、ロンドンで次のような興味深い発言をしている。
アフガニスタンの隣国であるイランは、アフガニスタン国内に大きな影響力をもつ重要なプレーヤーだ。私の考えでは、イランは文化的にも経済的にもアフガニスタンに極めて前向きな影響を与えられる。もし彼らがアフガニスタンの安定について分別ある判断をし、アフガニスタン政府を支えるなら情勢は好転するだろう。もし逆に反政府勢力を支援するなら、重大な計算違いになる。
アメリカの文民は軍人より好戦的
マクリスタルの発言の裏には綿密な計算があると思う。彼は、イランがアフガニスタンに有益な影響を及ぼす存在にも、アメリカの努力を妨害する存在にもなりうると警告している。アメリカがイランを攻撃すれば、イランに報復のインセンティブを与えることになり、アフガニスタンの状況は今以上に悪化する、というのだ。
タリバンが1998年にイラン人外交官らを殺害した事件の影響もあり、イランとタリバンの関係は冷え切っている。それでもイランはアフガニスタンで一定の影響を保持しており、アメリカがイラン攻撃という愚かな手を繰り出せば、必ず報復手段を探すだろう。
マクリスタルはおそらく、オバマ政権内で対イラン強硬派が強い影響力を握っていることを認識しているのだろう。また、イランとの交渉が行われている最中でさえ、共和党のリンゼー・グレアム上院議員をはじめとするタカ派がイラン攻撃に向けて圧力を強めていることも認識している。
マクリスタルの発言は一見穏やかだが、実はイランへの先制攻撃が唯一の手段だと訴え続けている勢力に対する「先制攻撃」だったのかもしれない。だとすればこの一件は、少なくともアメリカでは軍人より文民のほうがずっと好戦的な場合が多いという政治学者のリチャード・ベッツの主張を裏付けたものと言えるかもしれない。
いずれにせよ、私はバラク・オバマ米大統領がマクリスタルの警告に注意を払うよう祈っている。
Reprinted with permission from Stephen M. Walt's blog , 07/10/2009. © 2009 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.