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追悼マイケル・ジャクソン仮面を脱ぎ捨てたビッグカップル
マイケル・ジャクソンとリサ・マリー・プレスリーのわざとらしい結婚はやっぱり続かなかった
演技賞 MTV大賞授賞式に出席した新婚4カ月の2人(94年9月8日) Mark Cardwell-Reuters
これでもう、人前でわざとらしくキスする必要はなくなった。妙にぎこちなく手をつないだり、滞在しているホテルのバルコニーから無表情に手を振らなくてもいい。
テレビのインタビュー番組に出演しても視線を合わさず、それでも愛し合っていると口裏を合わす芸当もしなくていい。
すべてが終わった。先週木曜、リサ・マリー・プレスリーは「和解不可能な相違」を理由に、マイケル・ジャクソンとの離婚申し立てをした。結婚期間はわずか20カ月。ゴシップ好きのニューヨーク・ポスト紙は、「マイケル、ひじ鉄を食らう」と特大の見出しを立てて報じている。
だが終わったと聞くと、なぜか寂しくなる。世紀のロマンスとは言わぬまでも、2人の奇妙な生活が(「しているか、していないか」を含め)私たちを大いに楽しませてくれたのは事実なのだ。
そもそも結婚した理由がわからない
破局が伝われば、当然、原因探しが始まる。ところが、どうにも手がかりがない。リサ・マリーがロサンゼルスの裁判所に提出したのは、3ページにわたる型どおりの書類だけだ。
ジャクソン側によれば、2人は結婚前に取り決めを交わしていて、それに従ってリサ・マリーは1500万ドルの慰謝料のほか、結婚してから購入したものの半分を手にするという。
わかっているのはこんなところか。そもそも結婚の理由さえ定かでないのに、離婚をうんぬんしろといっても無理な話だ。申し立てでは、別居は昨年12月10日から。ニューヨークの舞台リハーサルで倒れたマイケルが入院してから4日後のことになる。
先週木曜、マイケルは映画監督のスパイク・リーとビデオ撮りについて話し合っていたという。世間の目が離婚に集中しているときに、すでに人気回復プロジェクトに着手していたことになる。
マイケルの周囲には、彼が仕事にのめり込んでいることが原因という声もある。ある人は、こう語っている。「彼は仕事中毒。一方、働いたことがないリサ・マリーには、そのことが理解できない。それにしても、夫が病気のときに別れるとは何事だ」
マイケルが、妻とその母親のプリシラが信者であるサイエントロジー教会に属することを拒んだため、という憶測も流されている。さらに、昨年8月、リサ・マリーがミュージシャンの前夫ダニー・キーオ(2人の間には2児がある)とハワイ旅行をしたのがまずかったと指摘する人もいる。
ただし、この旅行については「マイケルも承知していた」という反論がある。
手が届かなかった「人並みの暮らし」
とまあ、周辺にはさまざまな噂が乱れ飛んでいるが、近親者は口を閉ざしている。マイケルよりもダニーを気に入っていたとされるプリシラはノーコメント。ただし、昨年8月に、いっこうに収まらないマイケルの「少年いたずら疑惑」に業を煮やし、「あんな変人と早く縁を切らないと、娘の評判に傷がつく」と言ったとか。
さて、ジャクソン一族のお騒がせメンバーといえば、姉ラトーヤと夫のジャック・ゴードン。ゴードンは、一言いうのを忘れない。
「ラトーヤは、そんな結婚は危険だと警告していたんだ。身を固めるのはともかく、エルビスの娘が相手だなんてとんでもない。いずれ彼女は、結婚生活の問題を洗いざらい暴露するだろう。そうしたらマイケルは終わりだ」
2人について確実に言えるのは、超有名人が人並みの暮らしを望み、あえなく失敗したということだけ。もちろん私たちも、彼らをスター扱いせず、普通の人間としてみることは不可能だった。
最初から最後まで、マイケルとリサ・マリーには「恋する若い男女」の雰囲気がみじんも感じられなかった。
メンフィスの音楽評論家スタンリー・ブースは、語っている。「2人の未来については、結婚よりも、離婚を予想するほうがはるかにたやすかった」
この言葉に尽きるだろう。
[1996年1月31日号掲載]