韓国、マップアプリからAIチャットまで1120万人超の個人情報ダダ洩れの恐怖
20歳の女子大生という設定のAI「イルダ」はメッセンジャーサービスKakaoTalkのメッセージからこっそりディープラーニングしていた? SCATTER LABのWebサイトより
<AIとのチャットを楽しんでいたら、突然AIが自分の銀行口座を言ってきたら......>
昨年、日本で個人情報の漏洩・紛失事件は103件に上り、2515万人以上の個人情報が流出したという。
最近では、埼玉県が25日の夕方から5時間にわたり「新型コロナウィルス感染者」191名の個人名簿を公開してしまうというとんでもない流出事例も発覚した。
一方で、ネットサービスが生活に行きわたっている韓国でも個人情報の保護が課題となっている。
1月27日、韓国個人情報保護委員会は、昨年深刻な個人情報流出事件を起こしたテスラ・コリア、ネイチャーリパブリック、SD バイオテクノロジーズ、シー・トリップ・コリアの各社に、個人情報保護法(情報通信網法違法第27-28条)違反として6270万ウォンを求め話題となった。
クルマのダッシュボードに携帯番号を貼り付ける韓国社会
もともと韓国は、日本に比べると個人情報保護の認識が甘い方だ。個人の携帯電話を会社の名刺になんの躊躇なく記載したり、路上駐車するときに車のフロントガラスに携帯番号を張り付けたりする韓国人も多い。個人情報であっても便利であれば表に出すという合理的な考え方だ。
しかし、ここ最近韓国でもネットや企業から個人情報が流出する事件が増え、問題意識が高まっているように感じる。
韓国でメッセンジャーサービスで95%以上のシェアを誇る超人気アプリといえば「KakaoTalk」だ。しかし、ここ最近このKakaoTalkがらみの深刻な個人情報流出事件が続いている。
もともとは、LINEのような無料のメッセンジャーサービスだが、他にも電子決済のKakao Payやタクシーの配車アプリKakao Tなど便利なさまざまなサービスを展開し、韓国人の生活と強く結びついているだけに深刻視されている。
今回、その数ある機能のうち約500万人以上の人が利用しているという地図情報サービスKakaoMapから個人情報が流出した。
KakaoMapは、文字通り地図機能のサービスだ。利用者がよく行く場所や自宅などをブックマーク保存しておくことができるのが特徴である。ところが、このブックマークした場所が全体公開になっており、誰でも他人の情報が閲覧できるようになっていた事実が発覚した。
お店やレストランはもちろん、自宅や友人、恋人、家族の住所がアパートの部屋番号まで記載され公開されていた。なかには軍部隊の住所と正確な位置までもが表示公開されていたという。
ユーザー・インターフェースの悪さが原因に
なぜこのような事態になってしまったのだろうか。KakaoMapでは、利用者がブックマークのボタンを押すと保存するフォルダーの名前を入力する手順になっているが、このときに情報を一般公開するかしないかを選ぶことができる。ところが、その選択ボタンが文字入力キーボード部分に隠れてしまううえ、基本設定では全体公開になっていたため、利用者は気づかないうちに自分のブックマーク情報をたれ流していたのだ。
非難の声が高まるとKakaoはすぐにKakaoMapの基本設定を非公開にした。ところが、これは新規でインストールしたアプリにだけ適用され、すでにインストールして利用している人は個別に手動で設定しなければならない状態だった。
先月15日、この対応について韓国個人情報保護委員会から指摘が入り、その後Kakaoは既存のKakaoMap利用者のアプリでもすべて非公開になるよう設定変更した。個人情報保護委員会は引き続きKakaoMapが個人情報などで法令違反がないかを確認するとして調査を進めている。