人材難を「高度外国人材との二人三脚」で乗り越える...青木あすなろ建設の「海外技術者育成就労支援室」とは?
高度外国人材の採用と育成に力を入れている青木あすなろ建設で、測量を行う外国人技術者
<人手不足が特に深刻な建設業界。その打開策の1つとして高度外国人材の採用と育成に力を入れているのが青木あすなろ建設だ。努力の根底にあるのは、働く人の多様性と個性を尊重し、すべての人が働きがいのある仕事に安心して取り組めるようにしようという、高松コンストラクショングループのビジョンだった>
世界を変えるには、ニュースになるような大規模なプロジェクトや商品だけでは不十分。日本企業のたとえ小さなSDGsであっても、それが広く伝われば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。この考えに基づいてニューズウィーク日本版は昨年に「SDGsアワード」を立ち上げ、今年で2年目を迎えました。その一環として、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。
人手不足は日本経済全体がかかえる大きな課題だが、特に深刻なのが建設業界だ。国⼟交通省の「最近の建設業を巡る状況について」によれば、建設業界で働く人の数は最多だった1997年と比べて3割減の482万人(2021年)。また建設技能者の⾼齢化も進んでおり、60歳以上が全体の約4分の1を占め、近い将来にその多くが離職すると予測されている。正社員の人手不足を感じている企業の割合も、帝国データバンクの調査によれば全業種では51.7%なのに対し、建設業では約7割に達しているという。
そうした厳しい状況に、⾼度外国⼈材の採⽤と育成に⼒を入れることで対処しようとしている企業がある。建設業における専⾨企業集団、髙松グループを構成する19社のうちの1社、青木あすなろ建設だ。
採用からサポートまで専門部署を作って対応
もともと髙松コンストラクショングループは「髙松グループ ダイバーシティ&インクルージョン ビジョン」を掲げ、年齢や性別、国籍、障がい、性的指向、家族構成といった社員の多様性や個性を尊重し、⼀⼈ひとりの働きやすさや働きがいにつながるルールの整備や、協働し合える企業⾵⼟の構築に取り組んできた。青木あすなろ建設の高度外国人材に関するきめ細やかな施策の根底にあるのもまさにこのビジョンだ。
同社が、スリランカとフィリピンの大学を卒業した新卒ないし第2新卒にあたる世代の土木技術者の総合職採⽤を開始したのは2022年のこと。23年4⽉に1期生として13人が入社し、24年4⽉には18人が⼊社した。いずれも⽇本⼈の社員とともに数カ⽉間の新⼊社員研修を受けたのち、全国各地の⼟⽊⼯事作業所に配属されて施工管理の業務に従事している。
ただ正社員に登用しただけではない。同社では、こうした⾼度外国⼈材の採用から教育、サポートまでを一貫して担当する専門の部署、「海外技術者育成就労⽀援室」を2024年度に新設した。「海外技術者のためだけに⽴ち上げた部⾨で、他社ではアウトソーシングするような業務も一手に引き受けています。おかげで海外技術者との強固な信頼関係を築くことができています」と、同支援室の室長、侭⽥優美⼦氏は言う。
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