食品廃棄物が資源に変わる...飼料とエネルギーを生む日本の革新
Food Waste Innovations

食品ロスに新たな価値を...廃棄物を飼料とエネルギーに変える循環型ビジネス pathdoc-Shutterstock
<社会が出す大量の食べ残しを飼料やエネルギーに変える革新的ビジネス>
自治体の焼却炉に持ち込まれるごみのほぼ半分は食品廃棄物。焼却には多額の税金が投入され、さまざまな「ロス」が社会問題となっている。
食品廃棄物を燃やさず、資源として有効活用しているのが日本フードエコロジーセンターだ。食品ロスから飼料やエネルギーを生み出す革新的ビジネスモデルを確立した。
2001年施行の食品リサイクル法を機にスーパーなどで余った食品を再生利用する動きが活発化した。その1つが約8割を輸入に頼る、栄養価の高い濃厚飼料の国産化だ。
センター代表の高橋巧一は1998年から未利用食料の飼料化を推進する農水省のワーキンググループに参加していた。水分の多い食品残渣は、腐敗を防ぐためにも水気を飛ばすのが望ましいとされていたが、乾燥工程でエネルギーを大量消費し、価格をつり上げていたことがネックだった。
突破口を切り開いたのが獣医師資格を持つ高橋だ。欧州の農家が乳製品やウイスキーの製造過程で出るホエイ(乳清)やポットエール(廃液)を液体飼料として活用する事例に着目。日本の醸造業の発酵技術で液体の飼料を作れば、長期間保存でき、コストも環境負荷も減らせると考えた。
高橋は液体発酵飼料の実証実験を重ね、農水省や大学と共同研究を進めた。粉砕した食品残渣を攪拌してジュース状にしたものを加熱処理後に冷却し、乳酸菌を加えて発酵させる。pH(水素イオン濃度指数)を一定以下にすると腐敗菌が育たず、約2週間は常温保存が利くようになった。