『アドバンスト・スタイル』が教えてくれるもの
Advanced Style Exists Everywhere
60歳以上の女性を取り上げた最高に素敵な映画が日本公開中。きっかけとなったファッションブログを手掛けるアリ・セス・コーエンに聞く
その人らしい素敵なスタイルでニューヨークの街を闊歩する人々を紹介する「アドバンスト・スタイル」というファッションブログがある。08年に始まったこのブログが特別なのは、60歳以上(女性がほとんどだが、たまに男性もいる)に焦点を当てていることだ。
ブログをきっかけに生まれたドキュメンタリー映画が『アドバンスト・スタイル そのファッションが、人生』。60代から90代の個性あふれる7人の女性に4年間取材したもので、彼女たちのファッションやモットー、人生哲学を見せてくれる(リナ・プライオプライト監督、日本公開中)。おしゃれは自分のためのもので、一生楽しまなくちゃ損、という彼女たちの振る舞いを目にすると、年を重ねることのマイナスイメージはひっくり返される。ブログの執筆者で、映画版のプロデューサーを務めたアリ・セス・コーエンに話を聞いた。
──最初に撮った写真を覚えている?
最初はあまり出来がよくなかったんだよね。08年にニューヨークに移って来たが、生き生きとした独特のスタイルを持っている女性たちを見掛けて心を引かれ、ルームメートのカメラを借りて撮影とインタビューを始めた。それまでは写真なんて撮ったこともなかったけど。
最初の頃に撮影した1人が、映画にも登場するリンだった。僕はおばあちゃん子だったこともあって、小さい頃から年長の女性の絵を描くことが多かった。美しい緑のターバンを巻き、ケープをまとってニューヨークの街を歩くリンは、自分が子供時代に書いた絵そのままだった。思わず駆け寄り、「あなたは私の夢から出てきたようだ」と言って写真を撮らせてもらったんだ。
このプロジェクトに対する自分の思いは当初から変わらないが、撮影技術とカメラはどんどんよくなっているね!