ネット上で、自称「カンバービッチーズ」という熱烈なファンを持つベネディクト・カンバーバッチ(36)。BBCのドラマ『SHERLOCK(シャーロック)』のシャーロック・ホームズ役で注目されたイギリス人俳優だ。『スター・トレック イントゥ・ダークネス』では謎のテロリスト、ジョン・ハリソン役が大いに称賛された。
今後も、ハリウッドではカンバーバッチ旋風が続きそうだ。『ホビット スマウグの荒らし場』で邪竜ネクロマンサーを、『ザ・フィフス・エステート』でウィキリークス創設者ジュリアン・アサンジを演じるほか、ブラッド・ピット、ジュリア・ロバーツなどとの共演作も続く。乗りに乗っている彼に、本誌マーロウ・スターンが話を聞いた。
――テレビ版『スター・トレック』のファンだった?
エイブラムズの映画版『スタートレック』(09年)を見て、オリジナルが懐かしくなった。
子供の頃は『スター・ウォーズ』派だった。ハン・ソロになりたくて。でも09年の映画で登場人物に親近感を覚え、『スター・トレック』への愛を自覚した。あの作品には人間性と寛容を尊ぶ美しいメッセージがある。
――今回は激しい格闘シーンがあるが、どんなトレーニングをしたのか。
たっぷりやったよ! この手の役は初めてで、体重を増やさなくちゃと思ったから1日4000キロカロリーの食事を2、3週間続けた。あとはとにかく、ずっとトレーニング。武道と欧米の格闘技を混ぜたハリウッド風カンフーだ。ワイヤを使って跳躍し、ガラスを破る技には僕の中の10歳の少年が大喜びした。
――撮影中、いたずらに引っ掛かったとか。
完璧にやられたよ。ローレンス・リバモア国立研究所にいたときのことで、その施設では水素原子の核融合でエネルギーを発生させる研究が行われていた。そういう特殊な場所だったから、僕も言われたことは何でも信じるような感じだった。
共演のクリス・パインとサイモン・ペッグがひどくてさ。肌に損傷を与える放射性中性子が付かないように「中性子クリーム」を塗る必要がある、中性子を振り落とすために「中性子振り」の動作をしなくちゃいけないって言うんだ。僕はしばらくそれを信じ込んでいて、大嘘だと気付いたときはクルー全員が腹を抱えて笑ってた。
――チベットの寺院で英語を教えたことがあるとか。
瞑想とか、あの時の経験から学んだことは多い。それは今も仕事に役立っているし、集中力を高めてくれる。
人生において僕はいつも、素晴らしい瞬間を探し求めている。飛行機から飛び降りたり、スキューバダイビングをするといったむちゃな行動もそうだし、忙しいなかでゆっくりワインを飲んだり、友人と静かな時を過ごすといったことでもいい。人生にはごく普通のことも、異常なこともあってほしい。
――異常なほど熱烈なファン、カンバービッチーズのことは?
とてもひたむきで、素敵な人たちだよ。僕は誇りに思う。ただ、あまり深く関わらないようにはしている。ネット空間は俳優にとって、ミラーハウスみたいなもの。とても面白いところもあるが、不気味だったり、ちょっと不愉快なところもある。
――エイブラムズが監督する『スター・ウォーズ エピソード7』に出演したいとねじ込むつもりは?
今回みたいに、iPhoneで撮ったオーディション映像を彼に送るよ。ライトセーバーをやりたいと彼には言ってある。ライトセーバー役で出られなかったら、すごく悔しい。
[2013年8月27日号掲載]