ミッキーに買われたスター・ウォーズ
Disney buys Star Wars, Indiana Jones from Lucasfilm as George backs away
自分が死んでもスター・ウォーズには生き続けてほしい──ジョージ・ルーカスの悲壮な決意
ジョージ、頼むよ。君はみんなを悲しませようとしている。ジャー・ジャー・ビンクスというキャラクターの失敗なんか、なかったことにしようというわけか?
映画監督のジョージ・ルーカスは10月30日、自身の映画製作会社ルーカスフィルムをウォルト・ディズニーに破格の40億5000万ドルで売ると発表した。これにはスター・ウォーズやインディ・ジョーンズという人気シリーズに関する権利も含まれる。
スター・ウォーズのディープなファンたちにとって、今回のルーカスの決断は衝撃的だ。売却について伝えるルーカスの語り口はまるで、ダース・ベイダーとの死闘の最中にライトセイバーの光を自ら消してしまったかのようだった。
「スター・ウォーズを新世代の映画製作者に引き継ぐべきときがきた」と、ルーカスはディズニーのウェブサイト上で語った。
「スター・ウォーズは私を超える存在になるといつも信じてきたし、私が生きている間にバトンタッチすることが重要だと思った。(映画プロデューサーの)キャスリーン・ケネディが指揮するルーカス・フィルムに加え、ディズニーという新しい家を得たスター・ウォーズは、間違いなく生き続け、今後何世代にもわたって愛されていく」
なんと悲しい言葉だろう。だが、この言葉にも一理あるかもしれない。たとえば彼は、スター・ウォーズシリーズ第3作『ジェダイの復讐』と第4作『ファントム・メナス』の間、ファンたちを待たせ続けた。
そうは言っても「たったの」16年間だ。そして16年待たせた挙げ句、ファンの前に現れたのは嫌われ者のジャー・ジャー・ビンクスだった。
実際、時を経て制作されたエピソード1〜3の「新3部作」は、一部からは熱狂的に支持されたものの、多くの人にとってはがっかりな出来栄えだった。それを考えると、たしかにジョージはバトンを渡すべきなのかもしれない。だが、ディズニーに? ミッキーマウス、君は本当にそれでいいのか?
もちろん、ルーカスを責めることはできない。彼は今や68歳だし、買収によって20億ドルの現金とディズニーの株式約4000万株も手に入れられる。それにルーカスは新作の映画製作にもクリエイティブ・コンサルタントという肩書で関わることになっている。その新作だが、今後はものすごいペースで次々と制作されるらしい。
次回作の「エピソード7」はさっそく、2015年に公開されるという。興奮を抑えきれないじゃないか。何といってもエピソード7だ。「エピソード7」なんていう短い言葉の裏には、本当に多くの期待が詰まっている。
今後は2〜3年ごとに新作
ディズニーにとって、今回の買収はかなりのお買い得だ。スター・ウォーズもインディー・ジョーンズも、『THX1138』も手に入れたのだから。
おっと、もちろん最後のは冗談だ(このルーカスのデビュー作は興行的に失敗に終わった)。
だが実際のところ、この「たった数十億ドル」の買収のうま味は、ルーカス・フィルムが所有する数々の関連会社がついてくるところ。大手ゲーム会社ルーカスアーツや特撮工房インダストリアル・ライト&マジック、映画製作会社スカイウォーカー・サウンドなどで、いずれもおいしすぎるおまけだ。
「ルーカス・フィルムには創業者であるジョージ・ルーカスの並外れた情熱とビジョン、物語が反映されている」と、ウォルト・ディズニー社のロバート・アイガーCEOは語った。「今回の取引で、史上最高のファミリー向けエンターテイメントの1つであるスター・ウォーズを含む世界規模のコンテンツと、比類なきディズニーの創造性との融合が実現する。両者がさまざまなプラットフォームやビジネス、マーケットで融合することで、持続的な成長と長期的な価値がもたらされるだろう」
必ずや実現するに違いない。ミッキーマウスの耳に誓ったっていい。
2015年(たったの3年後だ!)のエピソード7以降は、2〜3年ごとに新作が発表されるという。もちろん(CGを駆使した)実写映画だ。スピンオフのアニメ作品『クローン・ウォーズ』みたいにおかしな作品はもう登場しない。
そしてディズニーワールドやディズニーランドを抱えるディズニーだけに、スター・ウォーズのテーマパークやアトラクション、グッズが登場しても驚きではない。もしかすると、人気キャラクターのチューバッカが、ついに彼にふさわしい主役の座をつかむかもしれない。
ジョージ、君が去ってしまうのを見るのは悲しい。でも、君がオビ=ワン・ケノービやアナキン・スカイウォーカー、ヨーダのように、フォースとともにある存在になって再び現れるのを心待ちにしているよ。
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