最新記事

話題作

今度のキャリーの本命は

'Sex and the City' and Halston

『SATC2』が安価なブランドとコラボレーション? ファッションの意外な展開にも要注目

2010年6月9日(水)15時14分
セーラ・ボール(エンターテインメント担当)

印刷

 5番街を闊歩するときは白いジャージードレス(325ドル)にゴールドのピンヒール。マンション周辺の散策ならロイヤルブルーのティアード・プリーツドレス(435ドル)。バカンスに訪れたアブダビではピンクのつるんとしたワンショルダー(325ドル)をまとい、砂漠を歩くときは鮮やかなオレンジ色のシルクのプリーツドレス(895ドル)を着こなす。

 キャリー・ブラッドショーならそうこなくちゃ! TPO的にはNGだけど、なんといってもゴージャスだから。

 5月27日全米公開の『セックス・アンド・ザ・シティ(SATC)2』は世界で4億ドルを稼いだ前作と同じく、ファッションが大きな話題になるだろう。しかも今回、キャリーは浮気なし。本命はビッグやエイダン......ではなくて、「ホルストン・ヘリテージ」。予告編を見る限り、キャリーの服はどれもサラ・ジェシカ・パーカー率いる同ブランドのものだ。

キャリーの服が手頃価格で

 パーカーと老舗ファッションブランドのホルストンが契約を結んだのは今年1月のこと。パーカーは、ホルストンが手頃な価格で提供するセカンドライン、ホルストン・ヘリテージの社長兼CCO(最高クリエーティブ責任者)に就任した。

 ちょっと背伸びした高校生向けといったミニドレスがそろい、販路は高級デパート「ノードストローム」やブランド通販サイト「ショップボップ」のような人気店。ホルストンの通常ラインは2000〜4000ドルだが、ヘリテージなら冒頭のように10分の1程度で手に入る。

 これが『SATC』シリーズの新しいスタイルだ。4人のヒロインは年を重ねるが、マーケティング対象は若返る。10代のアイドル、マイリー・サイラスもこのシリーズが大好きと言い、『SATC2』にカメオ出演している。

 しかし、安価なブランドとのコラボは意外な転換だ。『SATC』の熱いファンは、ディオールやオスカー・デ・ラ・レンタ、アレキサンダー・マックイーンに憧れる女性たち。キャリーも華やかなワンピースに飛び切り高価なハイヒール、じゃらじゃらしたアクセサリーを見せびらかしていた。

 それが今回は80年代のディスコに現れたバービー人形のようだ。しかもそのドレスは「主要百貨店」で発売中。初めて誰もが、キャリーの衣装をそっくりそのままワードローブに持てるようになった。

 この転換は賢い戦略でもある。とりわけ20年以上も低迷していたホルストンにとっては、『SATC』と手を組めば成功が約束されたも同然なのだから。

 前作に登場したマノロ・ブラニクのパンプス「サムシング・ブルー」は現在も引っ張りだこだし、キャリーが着たヴィヴィアン・ウェストウッドのウエディングドレスは、1万ドルもするのに数時間で完売になった。

絶大な影響力をどう生かす

『SATC』シリーズはもともと、巧みなマーケティングで知られているが、ホルストン・ヘリテージは最良のパートナーかもしれない。前作で提携したお酒や車より、ファッションの広がりのほうが観客は親近感を覚えるし、興味をかき立てられる。

 しかし、『SATC2』が80年代風パーティードレスを売り込む以上のことを狙っているのなら、慎重にやるべきだと、ニューヨーク州立ファッション工科大学美術館の副館長でファッション史家のパトリシア・ミアーズは言う。

今、あなたにオススメ

最新ニュース

ワールド

ペルー大統領、フジモリ氏に恩赦 健康悪化理由に

2017.12.25

ビジネス

前場の日経平均は小反落、クリスマス休暇で動意薄

2017.12.25

ビジネス

正午のドルは113円前半、参加者少なく動意に乏しい

2017.12.25

ビジネス

中国、来年のM2伸び率目標を過去最低水準に設定へ=現地紙

2017.12.25

新着

ここまで来た AI医療

癌の早期発見で、医療AIが専門医に勝てる理由

2018.11.14
中東

それでも「アラブの春」は終わっていない

2018.11.14
日中関係

安倍首相、日中「三原則」発言のくい違いと中国側が公表した発言記録

2018.11.14
ページトップへ

本誌紹介 最新号

2025.9.16号(9/ 9発売)

特集:世界が尊敬する日本の小説36

2025.9.16号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

文学 世界が尊敬する日本の小説36 ──『OUT』ほか
話題作 女性への偏見を俎上に上げて ──『BUTTER』
問題作 創造と狂信の間の危うい関係 ──『仮面の告白』
分析 高い壁をめぐる村上の冒険 ──『街とその不確かな壁』
ガイド 4ステップではまる村上春樹の読み方 ──『ノルウェイの森』ほか
映像化 ハリウッド映画化と「白人化」のはざまで ──『マリアビートル』
イタリア 古代ローマの心と響き合う調べ ──『カラフル』ほか
フランス 漫画やアニメを追い風に高まった親近感 ──『推し、燃ゆ』ほか
韓国 ピュアな恋愛と太宰治に共感を寄せる ──『人間失格』ほか
中国 不穏な日中関係を超え、物語が生む魂の対話 ──『雪国』ほか
翻訳者エッセー 神話の「曖昧さ」を追いかけて ──『ババヤガの夜』
デジタル雑誌を購入
最新号の目次を見る
本誌紹介一覧へ

Recommended

MAGAZINE

特集:静かな戦争

2017-12・26号(12/19発売)

電磁パルス攻撃、音響兵器、細菌感染モスキート......。日常生活に入り込み壊滅的ダメージを与える見えない新兵器

  • 最新号の目次
  • 予約購読お申し込み
  • デジタル版

ニューストピックス

人気ランキング (ジャンル別)

  • 最新記事
  • コラム&ブログ
  • 最新ニュース