最新記事

時間管理術

世界中のエグゼクティブが実践する超ストイックな25分間、「ポモドーロ・テクニック」とは?

2023年2月2日(木)17時05分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
ポモドーロ・テクニック

AlessandroZocc-iStock

<1ポモドーロ=25分+5分。一見簡単そうに見える時間管理術「ポモドーロ・テクニック」だが、まずは3つの基本要素と5段階の基本プロセスの理解が必要となる>

「ポモドーロ・テクニック」とは、1987年にイタリア人大学生が考案した「25分+5分」の時間管理術。先延ばしを減らし、生産性を改善し、時短化するという効率性がソフトウェアエンジニアの間で広がり、その手法は世界的企業のエグゼクティブや国際機関の職員などにも拡散していった。その「ポモドーロ・テクニック」開発者フランチェスコ・シリロによる初の公式本『どんな仕事も「25分+5分」で結果が出る ポモドーロ・テクニック入門』(CCCメディアハウス)より抜粋する。

◇ ◇ ◇


多くの人にとって、時間は敵になっている。特に期限がある場合など、時間の経過によって引き起こされる不安は仕事や勉強の能率低下につながり、それが先延ばしの性向を生み出す。

ポモドーロ・テクニックは、自分のやりたいことをやりたいように成し遂げ、仕事や勉強の成果を継続的に高めていけるように、時間を価値ある味方にすることを目的に1992年に考案された。

文脈

期日までに終えなければならない仕事を前にして、不安を感じたことのない人がいるだろうか。そうした状況の中で、予定を後倒しする必要を感じたことのない人がいるだろうか。

進行が予定より遅れてしまったり、時間を無駄にしてしまったりしたことのない人がいるだろうか。時間が何よりも大事な状況なのに人と会う約束などに追い立てられ、自分の好きなことをする時間がなくなってしまうという不愉快さを知らない人がいるだろうか。

「忘れるな 時は貪欲な勝負師だ いかさまをせずに常に勝つ」と、ボードレールは「時計」という詩に書いている。これは時間の本当の性質なのか。それとも、時間に対する一つの捉え方にすぎないのか。

実際のところ、そうした探究には必然的に限界があり、完全にはなり得ない。本当の意味で洞察を示した人はほとんどいない。時間という問題に関しては、深い相互関係をもつ2つの側面が共存しているようだ。

・生成 
時を計る(秒、分、時間)という習慣につながる抽象的次元の側面。空間という次元のように、座標軸上に時を表すという概念。ある事象の継続という概念(時間軸上の2点間の距離)。遅れという概念(同じく時間軸上の2点間の距離)。

・事象の連続
時間的順序の具体的な側面。私たちは朝起き、シャワーを浴び、朝食をとり、勉強し、昼食をとり、昼寝をし、遊び、食べ、ベッドに入る。子どもは、何が起きるかにかかわらず経過するという時間の抽象的概念を獲得する前に、このような時間の概念をもつようになる。

この2つの側面のうち、不安をもたらすのは「生成」のほうだ。本質的に捉えようがなく、不確かで際限がない。時は経過し、逃げていき、将来へと動いていく。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏とゼレンスキー氏が「非常に生産的な」協議

ワールド

ローマ教皇の葬儀、20万人が最後の別れ トランプ氏

ビジネス

豊田織機が非上場化を検討、トヨタやグループ企業が出

ビジネス

日産、武漢工場の生産25年度中にも終了 中国事業の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 7
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中