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日本を代表するランドスケープデザイナーがつくりあげた東京のシンボル

2021年4月19日(月)20時20分
Pen編集部 ※Pen Onlineより転載
東京・渋谷のMIYASHITA PARK

団塚栄喜が総合デザイン監修を務め、2020年にオープンしたMIYASHITA PARK(渋谷) mizoula-iStock

<〈風景司〉と名乗り、20年以上にわたって時間、空間、人間の「間」を繋ぐ風景を生み出してきた団塚栄喜──全仕事の軌跡をまとめた作品集は、クリエイティブな好奇心を刺激する一冊に>

黒潮の海に浮かぶ大分県大入島に生まれ、自然に囲まれた幼少期の原風景が仕事のベースになっているという団塚栄喜。大分空港屋上送迎デッキやボートレースのPR拠点「SIX WAKE ROPPONGI」といった、時間、空間、人間の「間」を繋ぐ風景を生み出す商業施設や公共施設、公園をデザインしてきた日本を代表するランドスケープデザイナーだ。書名の『EARTHSCAPE(アースケイプ)』とは、宇宙から見た丸くて青い地球の姿。この言葉を自身の事務所名にしている団塚栄喜は、制作活動そのものが地球に還る持続可能なプロセスを重要視し、自らを〈風景司〉と名乗る。その〈風景司〉団塚栄喜の20年以上にわたる全仕事の軌跡をまとめた作品集が、5月1日に発売。類まれなるクリエイターのインスピレーションの源と、作品の集大成を余すところなく網羅している。クリエイティブな好奇心を強く刺激する一冊が誕生した。

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渋谷のランドマーク「MIYASHITA PARK」。公園エリアのファニチャー「OUTSIDER」も団塚栄喜が手掛けた。

2020年、渋谷にオープンしたMIYASHITA PARKも、団塚栄喜が総合デザイン監修として5年の歳月をかけて携わった施設だ。ハイブランドショップや飲み屋横丁、さらには公園など、さまざまなものがまざったこの複合施設のコンセプトは、高層化する街のなかに描かれた一本のライン。この場所をスタートラインとして、人と人だけでなく人と自然がつながり、心身ともに豊かになる、新たな時代における東京のシンボルとしてつくりあげた。多様な人やものを受け入れたパワーを源に世界を変える新たなムーブメントが、ここ、MIYASHITA PARKから発信される。

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全身が薬草で覆われた人型の畑「ハーブマン」。4月29日から開催される北九州未来創造芸術祭(https://art-sdgs.jp)にて、北九州市にお目見えの予定だ。

数々の施設のデザインを手がけた団塚栄喜だが、ランドスケープデザインと並行してライフワークにするのが、デザインを通じた環境プロジェクト「メディカルハーブマンカフェプロジェクト(MHCP)」だ。薬草の効能を実感した経験から生まれたアートワーク「ハーブマン」は、カフェとギャラリーの2つのコンテナを抱えて世界中を旅するという設定をもつ。ハーブマン型の畑を介した体験イベントや自然と植物に関する展示を開催し、子どもたちが遊びまわれる大地を各地に提供する。ハーブマンは人と植物の関係を多くの人に伝え、いつまでも旅を続ける。

団塚栄喜(だんづか・えいき)
1963年大分県生まれ。桑沢デザイン研究所を経て、モノ派を代表する美術家・関根伸夫に師事。多摩美術大学客員教授。東京藝術大学非常勤講師。EARTHSCAPE主宰。都市景観大賞、土木学会デザイン賞、BCS賞、SDA賞、グッドデザイン賞、AACA賞、英国D&AD Award、米国GreenGood Design Award などを受賞。



代官山 蔦屋書店 オンラインイベント(Zoom)
「ランドスケープデザイナー〈風景司〉 団塚栄喜のストーリーの生み出し方」
内容:建築家・榊田倫之氏(新素材研究所)との対談形式。
開催日時:2021年 4月23日(金)19時~20時30分
参加条件等:下記サイトでご確認ください。
https://peatix.com/event/1882971/view
問い合わせ先/daikanyama.tsutayabooks.onlineevent@ccc.co.jp


六本松 蔦屋書店 トークイベント
「ランドスケープデザイナー〈風景司〉 団塚栄喜のストーリーの生み出し方」
内容:北九州未来創造芸術祭Art for SDGsの展示「メディカルハーブマンカフェプロジェクト(MHCP)」の紹介など。
開催日時:2021年 5月1日(土)14時~15時30分(予定)
定員:20名
問い合わせ先/六本松 蔦屋書店
TEL:092-731-7760
※イベント実施の2店舗については、本書およびイベント参加券を先行発売いたします。

※2021.04.12

EARTHSCAPE(アースケイプ)
 ――「そこにあるべき」ストーリーを生み出す〈風景司〉団塚栄喜作品集』
 団塚栄喜 著
 CCCメディアハウス

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※当記事は「Pen Online」からの転載記事です。
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