最新記事
BOOKS

【やってみよう】目標を「フリーライティング」で文字に書き出すことで達成率を上げる

2025年2月14日(金)11時30分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
プロジェクト計画

目標を文字で書く効果については実験結果で証明されている/pixabay

<韓国で112刷の自己啓発書の著者が提唱する目標を「文字で書く」ことの効果とは>

韓国出身の起業家で英国の長者番付け入りも果たしたケリー・チェ氏は、チャンネル登録者数53万人のインフルエンサーとしても知られ、経済的にも、キャリアや人生も豊かに生きたいと願う多くの人をエンパワーしている。

世界の成功者たちの共通習慣を研究し、人生を意のままに変えるためのマインドセットの持ち方について解説したチェ氏の著書『富者の思考 お金が人を選んでいる』(小笠原藤子訳、CCCメディアハウス)は、目標を文字にして書き出すことの効用を説いている。

「目標を文字に書き出す」ことの恐るべき効果

目標達成において「書く」という行為が持つ力は、科学的な裏付けを得ている。2020年、ドミニカン大学カリフォルニアの研究チームは、目標を「文字で書き出す」ことの効果について、画期的な研究結果を発表した。この研究は当初、動機付けに関する一般的な理論を検証する目的で始められたものだが、予想以上に重要な知見をもたらすこととなった。

研究チームは149名の被験者を無作為に5つのグループに分け、4週間にわたって追跡調査を実施した。各グループへのオーダーは以下の通りだ。

グループ1:目標を文字で書かない
グループ2:目標を文字で書く
グループ3:目標を文字で書いて宣言する
グループ4:目標を文字で書いて知人に宣言する
グループ5:目標を文字で書き、知人に宣言し、全過程を共有する

4週間後に導き出された研究結果は、目標を文字で書くことの効果を示すものだった。目標を文字化した4つのグループ(グループ2〜5)は、いずれも文字化しなかったグループ1と比較して、著しく高い達成度を示したのだ。とりわけグループ5が、最高の達成度を記録した。目標を書くだけにとどまらず、さらにそれを「他者と共有」することの有効性が実証されたかたちである。目標を文字化し、他者と共有することで、達成への動機付けが強化され、より高い成果につながるのだ。

「書き記す」という行為が持つ力は無視できない。これは、航海に例えるならば、明確な航路を定めることに等しいだろう。目的地への到達を望むなら、まず詳細な航路図が必要だ。実際、我々は我々今や短い距離の往復でさえナビゲーションで方向確認するではないか。同様に、目標を文字で書くということは、人生のマイルストーンを置くということなのだ。

「フリーライティング」なら誰でもできる

では、具体的にどのように目標を書き記せばよいのだろうか。効果的なのが「フリーライティング」という手法だ。これは、文章の形式や文法の正しさや美しさにとらわれず、思考や感情を自由に書き出していく方法だ。いわばブレインストーミングのようなものだ。論理的構成や文章が奇妙に見えても気にしない。それらは単に思考の断片にすぎない。気にせず、心の中で起こっていることをすべて吐露する。

フリーライティングのメリットは、文を書くことに対するプレッシャーを減らすと同時に、実力を向上させながら潜在意識を活性化することにある。潜在意識を活性化することは、より多くの可能性を得るに等しい。

フリーライティングにより、以下のような効果が期待できます:

- 潜在意識の活性化
- 思考の整理
- 目標達成にいたる障害の具体的な認識
- 感情のコントロール(モチベーション向上)

書き出した目標は、定期的に読み返し、振り返る。これにより、目標達成までの到達度や障害を客観的に認識できる。客観視ができれば、具体的な対策や改善策を考えることができる。また、振り返りの過程は瞑想に似た効果ももたらし、心理的な浄化作用も期待できる。

さっそくあなたも目標を書き始めてみてはどうだろう? 完璧な文章を目指す必要はない。重要なのは、思考を文字として具現化し、定期的に見直すことだ。それは、キャリアや人生における確かな羅針盤となるだろう。

◇ ◇ ◇

『お金が人を選んでいる』POP

『お金が人を選んでいる』POP


ケリー・チェ(Kelly Choi)

ヨーロッパ12ヵ国で寿司販売を中心としたアジア系食品フランチャイズチェーンを1200店舗展開する、グローバル企業「ケリーデリ(KellyDeli)」の創業者/会長(2021年当時)。全羅北道で生まれ、ソウルの縫製工場で働きながら夜間定時制高等学校を卒業。30代でパリでファッション事業を立ち上げるが、10億ウォン(約1 億円)の借金を抱える。これを機に、〈富者の思考〉と習慣を体得するため、1000人の成功者に学ぶ。2010年にケリー・デリを立ち上げ、2020年、「サンデー・タイムズ」が選ぶイギリスの資産家345位。

現在は、経営と〈富者の思考〉を伝えるために「ウェルシンキング・アカデミー」を設立。YouTubeやInstagram、講演活動を通じて啓発活動を続けている。著書に『パリでお弁当を売る女』(2021年、未邦訳)、『100日朝習慣の奇跡』(2023年、未邦訳)がある。。2022年には本書が大手ブックサイトYes24の「今年の本」に選出され、100刷突破記念刊行で表紙の装いを新たにした。

『お金が人を選んでいる』書影
『富者の思考 お金が人を選んでいる』
 ケリー・チェ[著]
 小笠原藤子[訳]
 CCCメディアハウス[刊]

(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)


ニューズウィーク日本版 トランプショック
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月22日号(4月15日発売)は「トランプショック」特集。関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

マレーシア元首相のアブドラ氏死去、85歳 反汚職運

ビジネス

大胆な政策対応は賢明でない、不透明感で=アトランタ

ワールド

トランプ関税巡り提訴、米中小企業 権限逸脱主張

ビジネス

ブラックロック調査部門、米国株の投資判断をオーバー
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 2
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトランプ関税ではなく、習近平の「失策」
  • 3
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができているのは「米国でなく中国」である理由
  • 4
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 5
    「世界で最も嫌われている国」ランキングを発表...日…
  • 6
    NASAが監視する直径150メートル超えの「潜在的に危険…
  • 7
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 8
    シャーロット王女と「親友」の絶妙な距離感が話題に.…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    米ステルス戦闘機とロシア軍用機2機が「超近接飛行」…
  • 1
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 2
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 3
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止するための戦い...膨れ上がった「腐敗」の実態
  • 4
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 5
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 6
    「ただ愛する男性と一緒にいたいだけ!」77歳になっ…
  • 7
    投資の神様ウォーレン・バフェットが世界株安に勝っ…
  • 8
    「吐きそうになった...」高速列車で前席のカップルが…
  • 9
    コメ不足なのに「減反」をやめようとしない理由...政治…
  • 10
    まもなく日本を襲う「身寄りのない高齢者」の爆発的…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 7
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中