「投資家はがっかり」の中国新指導部が、成果を出せる手っ取り早い方法
IT ALL DEPENDS ON XI
習近平(中央)の3期目を担う新指導部は投資家に好印象を与える顔触れではなかった INHUA/AFLO
<習近平政権の新指導部に並ぶのは、李強、丁薛祥と、経済手腕が未知数すぎる男たち。中国経済最大の難題である不動産危機に解決策を見いだせるのか>
中国の習近平(シー・チンピン)国家主席が10月の中国共産党第20回全国代表大会(党大会)で披露した新しい党指導部の顔触れは、国内外の金融市場に好印象を与えなかった。
翌週の香港の株式市場は8.3%下落。中国株式市場の主要指標である上海総合指数も4%下落し、米株式市場に上場する中国企業の株価は15%も急落した。
投資家が懸念するのも無理はない。
習の3期目続投は予想どおりだったが、新指導部にはもっと穏健で、政治より実務を優先できる経験豊富な面々が期待されていた。習はそれに反して、党政治局と常務委員会を自らに忠実なメンバーで固めた。
常務委員会ナンバー2で、来年3月に首相に選出される李強(リー・チアン)は、習の秘書長を務めた後、江蘇省と上海市の党トップを歴任。
上海に米電気自動車大手テスラの米国外最大の工場を誘致するなど、民間企業に優しいという評判を高めた。だが1988年以降の歴代首相とは違い、これまで中央政府での職務経験がない。
副首相となる丁薛祥(ティン・シュエシアン)は、10年近くにわたり習の最側近として仕えてきたが、指導力を発揮した経験はさらに乏しい。
新指導部に中国経済の立て直しを期待する投資家からすれば、この2人では心もとない。
ただ期待が低いことは、習にとって有利でもあるだろう。どんなに小さな成功でも、政府の信頼回復につながるからだ。
最も成果を出しやすいのは、「ゼロコロナ政策」絡みかもしれない。この政策は中国経済に打撃をもたらし、都市部の若者の失業率が20%近くにまで悪化する要因となった。
習の3期目を迎えるなかで、政策打ち切りの機運は高まっている。中止すればすぐにも経済成長と雇用が促進され、李と丁の評価は上がるだろう。