企業が群がる、インスタの消える動画「ストーリーズ」の威力
インスタグラムが2016年8月から提供している機能「ストーリーズ」。投稿の気軽さが受け、ユーザーはこぞって利用している(写真:Instagram)
旅行の様子や、レストランでの食事風景、家族や友人、ペットとのひととき――。そんなあらゆる写真や動画の投稿であふれるSNS、Instagram(インスタグラム)。1カ月あたりの利用者は2017年6月時点で、全世界で8億人、日本国内だけでも2000万人までに拡大した。
インスタグラムで映えそうな風景などを指す「インスタ映え」は、いまや若者の口癖となり、消費行動をも変えている。
インスタで宣伝したい企業が群がる
これだけ多くの人が集まる場だけに、自社の商品やサービスを宣伝したい企業からの注目度も年々高まってきた。企業やブランドは独自に開設した無料のアカウントを通じ、フォロワーに新商品などの情報を写真・動画で共有する。また、インスタグラムが有料で提供している広告の仕組みを使ってブランドの認知向上や購入ページへの誘導を図ったりと、活用の仕方はさまざまだ。
今、これらの企業やブランドが特に強い関心を寄せているのが、2016年8月にインスタグラム内に設けられた機能「ストーリーズ」だ。
ストーリーズは、通常の投稿一覧(フィード)とは別枠で写真や動画の投稿、ライブ配信を行えるもの。アプリのトップ画面上部に並ぶ、円形のアイコンをタップすると表示される。画像や動画の上に文字を書き込めたり、反復再生動画を撮れたりと、ストーリーズに特化した撮影・編集機能も豊富だ。
通常の投稿が「いいね!」の数や投稿文とともに一覧表示されるのに対し、ストーリーズの場合は1つの投稿がスマートフォンの画面いっぱいに表示されるのが最大の特徴だ。新着投稿が複数ある場合、数秒ごとに次の投稿へと自動で切り替わっていく。投稿は24時間以内(ライブ配信は配信終了後)に自動的に削除される。
提供開始からわずか1年弱で、ストーリーズの閲覧・投稿者数は全世界で1日あたり2億5000万に到達(2017年6月時点)。利用者のアプリ滞在時間も、ストーリーズ投入前の2014年に1日21分(全世代平均)だったところから、直近では25歳以上の利用者が同24分、25歳以下の利用者が同32分まで伸びた。
当然、企業も広告宣伝のツールとして目をつけている。企業アカウントの約50%がストーリーズに投稿しているほか、今年2月に投入したストーリーズの広告メニューも販売が急伸しているという。