中国で深刻化する大気汚染、電気自動車の売上伸張の好機に
ガソリン車のような規制を受けない電気自動車に問い合わせが殺到
12月10日、中国の首都・北京市では今週、最も深刻な大気汚染を示す「赤色警報」が初めて発令されたが、これは同国でまだ新しい電気自動車市場にとって好機となっている。写真は上海汽車の電気自動車。北京で9日撮影(2015年 ロイター/Damir Sagolj)
中国の首都・北京市では今週、最も深刻な大気汚染を示す「赤色警報」が初めて発令されたが、これは同国でまだ新しい電気自動車市場にとって好機となっている。一部のディーラーからは、電気自動車に関する問い合わせが1割程度増加しているとの声も聞かれる。
北京市は7日から3日間にわたり赤色警報を発令し、従来のガソリン車やハイブリッド車の運転を1日おきに制限するなどの措置を打ち出した。
電気自動車が規制を免れたことで、購入に興味を示すドライバーから問い合わせが相次いでいると、ディーラーや自動車メーカーは話す。
「新たな対策では、大気汚染がひどい日でも電気自動車の運転が制限されないので、(購入を)検討している」と、比亜迪汽車(BYD)<1211.HK> <002594.SZ>の販売代理店を訪れていたWang Chaoさん(26)は語った。
北京で食品卸売業を営むWangさんはまた、電気自動車の購入に際し、約10万元(約190万円)の補助金が政府から受けられることも魅力だと述べた。
このような補助金など政府が打ち出した対策により、中国では今年1─10月の電気自動車販売台数は前年同期比で約5倍の11万3810台に急増。中国汽車工業協会(CAAM)は、2015年の中国の電気自動車販売は22万─25万台に達し、米国の販売推計値(18万台)を追い抜き、世界1位になるとの見通しを示した。
テスラ・モーターズや北京汽車集団(BAIC)[BEJINS.UL]傘下の電気自動車部門などによれば、北京では大気汚染のせいで電気自動車について問い合わせる潜在顧客が増えているという。
「最近は大気汚染がひどいので、誰も外に出たがらない。だから、電話で問い合わせてくる」と、エコカーを中心に取り扱うBYDの代理店を数店舗経営するLi Huiさんは話した。BYDの電気自動車「e6」に関する問い合わせは8─9%増加したという。
広告キャンペーン
米著名投資家ウォーレン・バフェット氏の投資会社バークシャー・ハサウェイが出資するBYDは、広告でも大気汚染との闘いを打ち出している。自社の電気自動車「e6」に関するソーシャルメディア上の広告では、Liさんの代理店を訪れた人にはマスクを無料で提供するプロモーションをうたっている。