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政策金利米FOMC、10年ぶりに金利引き上げを発表
世界経済への影響を考慮して緩やかな引き締め強調
12月16日、米FRBはFOMCで、FF金利の誘導目標を0.25━0.50%に引き上げることを決めた。写真はワシントンのFRBビル。9月撮影(2015年 ロイター/Kevin Lamarque)
米連邦準備理事会(FRB)は、16日まで開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標をゼロ━0.25%から0.25━0.50%に引き上げることを決めた。
利上げは約10年ぶり。米経済は2007━09年の金融危機よる打撃を概ね克服したとの認識を示した。
議長は会見で「経済状況は良好で、今後も続くと見込まれるため、小幅な利上げが適切と判断した」と説明した。
声明は「委員会は、労働市場で今年著しい改善が見られたと判断し、インフレ率が中期的に目標の2%に向けて加速するとの妥当な確信を得た」と指摘。
「インフレ率が2%を下回る状況を踏まえ、目標に向けた進展について、実績と予測の両方を注視する」とし、「委員会は今後の経済動向について、FF金利の緩やかな上昇しか正当化しないような状況を想定している」とした。
議長は「緩やかなプロセスとなる公算が大きい」と言明。一方で、金融緩和を長期化し、将来急激な利上げを迫られるような状況は回避したいと述べた。
アリアンツの首席経済アドバイザー、モハメド・エラリアン氏は「FRBは『緩やかな』軌道とすることで、市場に不安を抱かせないように配慮した。従来の金利サイクルとは違う」と話した。
発表受け、緩やかな引き締めとなることが明確となったことで米株価は上昇。米債券利回りは上昇、ドルは主要通貨バスケットに対し小動きとなった。
イエレン議長はまた「米経済はこれまで多大な力強さを示している。国内消費は引き続き持ちこたえている」とし、利上げにより個人消費や企業の投資を抑制することは望んでいないと述べた。
「金融政策は引き続き緩和的」とし、利上げ後も金利は低水準にとどまると強調した。
同時公表された経済見通しは、9月からほぼ変わらず。失業率は来年4.7%に低下、成長率は2.4%と予想されている。
2016年の金利見通しは中央値で1.375%。来年25bpの利上げが4度実施されることを示唆している。短期金利先物相場は、来年4月に次回利上げが実施される可能性を織り込んでいる。
FRBはまた、利上げに伴い、超過準備金利を0.50%とし、最大2兆ドルのリバースレポを実施するとした。