最新記事

インターネット

フェイスブックから主要サイトへのトラフィックが2015年に激減した理由

ハフィントンポストは60%減! 巨大ソーシャルメディアの方針転換でウェブメディア苦難の時代が始まる

2015年11月11日(水)14時38分
ザック・ションフェルド

圧倒的支配者 フェイスブックにアクセス流入を依存してきたサイトは、フェイスブックの心変わり一つで敗者に転落する Stephen Lam- REUTERS

 フェイスブックに「集客」を頼っているウェブサイトに悪いニュース。フェイスブックは自分のことしか考えていない(とうにご存じだったかもしれないが)。

 デジタルマーケティング情報サイトDigidayのレポートによると、フェイスブック上でフォロワーの多かったウェブメディアへのフェイスブックからのトラフィック(アクセス流入)は、2015年に入って急落している。Digidayのレポートは、同じ分析サービスであるSimpleReachとSimilarWebのデータを使って弾き出したものだ。

 例えば、ハフィントンポストへのフェイスブックからのトラフィックは、今年第1四半期~第3四半期に60%も落ち込んだ。Foxニュース、バズフィードも同様で、いずれも同期間に40%以上落ちている。なお、最も落ち込みが急激だったのは今年の初めだ。

 フェイスブック社はDigidayに対し、「ウェブメディア全体へのトラフィックを減らしている」ことを否定している。ただし、具体的な数字を挙げて反論したわけではない。

 これは一体、何を意味するのだろうか。

 ウェブメディアは通常、フェイスブック上にページを設け、自らのサイトないしサイトの記事にリンクを貼ってそこへ投稿する。フェイスブックのリンクをたどって戻ってくるトラフィックにアクセスを頼っているサイトは多く、特にソーシャルメディア(SNS)の情報拡散力を利用して爆発的なアクセスを生むことを目的としたバイラルメディアは、ほとんどがフェイスブックに依存している。

 2015年のウェブパブリッシングの世界において、このソーシャルメディアの巨人がどれほど支配的な力を持っているか。今回の一件は、それを示す新たな証拠だ。フェイスブックがニュースフィード(そのユーザーがフォローしている人やページの投稿記事が常時流れてくる場所)のアルゴリズムをちょっといじっただけで、ウェブメディアのビジネスモデルは大きく揺らぎ、場合によっては危機に陥る。

インスタント・アーティクルズへの誘導か

 例えば今年1月、フェイスブックはニュースフィードにあふれる偽のニュース記事を取り締まる仕組みを導入した。センセーショナルな見出しの記事で、クリックしてみると偽のニュース記事だった――そんな場合、ユーザーはそれをフェイスブックに報告できるようになった。

 かつてはどのウェブサイトも、自社のホームページをわざわざ訪れてくれる読者にアクセスを頼っていた。しかし、その時代は終わり、2015年にはフェイスブック――あるいはツイッターやタンブラー(ブログサービス)、ピンタレスト(写真共有サイト)――こそが、何百万、何千万という読者にとってのホームページとなった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

KCN3GA1TC

ビジネス

アマゾン、TikTok米事業買収に名乗り 5日の禁

ワールド

イスラエル、ガザ軍事作戦拡大 国連診療所などへの攻

ワールド

マスク氏、近く政権離脱か トランプ氏が側近に明かす
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台になった遺跡で、映画そっくりの「聖杯」が発掘される
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 7
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 8
    博士課程の奨学金受給者の約4割が留学生、問題は日…
  • 9
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 10
    トランプ政権でついに「内ゲバ」が始まる...シグナル…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 7
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 8
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 9
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 10
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中