最新記事

自動車

VW排ガス不正操作、数年前に技術者らの警告で違法性を認識か

問題のソフトを供給したボッシュが2007年に、2011年には社内技術者も告発の声を上げていた──

2015年9月28日(月)13時24分

9月27日、独VWの排ガス規制逃れ問題で、VW社員とサプライヤー1社が4年以上前に、排ガス規制を逃れるために使用されたソフトウエアの違法性を指摘していたことが分かった。写真はロゴ、ウォルフスブルクで22日撮影(2015年 ロイター/Axel Schmidt)

[ベルリン/ローマ 27日 ロイター] - 独フォルクスワーゲン(VW)(VOWG_p.DE)の排ガス規制逃れ問題で、VW社員とサプライヤー1社が4年以上前に、排ガス規制を逃れるために使用されたソフトウエアの違法性を指摘していたことが分かった。

ドイツの新聞2紙が27日伝えた。

フランクフルター・アルゲマイネ紙は、VW監査役会に近い筋の話として、25日の監査役会に提出された社内報告書に、社内の技術者が2011年に不正な排ガス規制逃れについて警告していたことを示す記述があったと報道。警告時点で問題への対処がなされかった理由は明らかになっていない。

一方ビルト紙は、部品サプライヤーのボッシュROBG.ULがVWに供給した問題のソフトについて、規制逃れに使うことは違法だと2007年に書面で警告していたことがVWの内部調査で分かったと伝えた。同紙は情報源を明らかにしていない。

ボッシュの広報担当者はVWとの取引内容は機密事項だとした。

VWは2紙の報道の詳細に関するコメントを拒否。広報担当者は「本格的な調査を行っている。(顧客とディーラーに対する)技術的な対応策にも取り組んでいる」とし、「信頼できる事実が分かり次第、回答できる」と述べた。

VWの内部調査は、どのレベルの幹部までこの問題に関与していたのか、いつから問題を認識していたのかを中心に行われるとみられる。

ビルト紙はまた、情報源は明らかにしていないものの、引責辞任したウィンターコルン最高経営責任者(CEO)が来年末の任期までの給料を要求したが、取締役会から拒否されたと報じている。同氏の昨年の年収は1600万ユーロ(約21億5000万円)で、ドイツDAX指数に組み入れられた30銘柄のCEO報酬の中で最高額だった。

一方、VWのミュラー新CEOは社員あての書簡で、不正問題の調査とコンプライアンスおよびガバナンス基準の向上に厳しい姿勢で取り組むと約束した。

迫られる対応策

試験走行時に排ガス規制に適合するようにモードを切り替えるソフトウエアは、VW社製ディーゼル車の約1100万台に搭載されており、同社はいまだ対応策を検討している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国最大野党の李代表に逆転無罪判決、大統領選出馬に

ビジネス

独VWの筆頭株主ポルシェSE、投資先の多様化を検討

ビジネス

日産、25年度に新型EV「リーフ」投入 クロスオー

ビジネス

通商政策など不確実性高い、賃金・物価の好循環「ステ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取締役会はマスクCEOを辞めさせろ」
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 5
    「トランプが変えた世界」を30年前に描いていた...あ…
  • 6
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 7
    トランプ批判で入国拒否も?...米空港で広がる「スマ…
  • 8
    【クイズ】アメリカで「ネズミが大量発生している」…
  • 9
    老化を遅らせる食事法...細胞を大掃除する「断続的フ…
  • 10
    「悪循環」中国の飲食店に大倒産時代が到来...デフレ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 5
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 6
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
  • 7
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「レアアース」の生産量が多…
  • 10
    古代ギリシャの沈没船から発見された世界最古の「コ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中