景気減速のなか中国投資家が群がる不良債権市場
百戦錬磨の投資家が参加するセカンダリーマーケットが活性化の兆し
9月25日、中国経済が低迷するなか債務不履行に陥る借り手が増え、銀行の不良債権が急増、それと歩調を合わせ中国不良債権の流通市場が活況を呈している。北京で24日撮影(2015年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
[上海 25日 ロイター] - 中国経済が25年ぶりの低成長に落ち込むなか、デフォルト(債務不履行)に陥る借り手が増え、銀行の不良債権(NPL)が急増している。それと歩調を合わせるように最近、活況を呈しているのが、中国不良債権のセカンダリーマーケット(流通市場)であり、百戦錬磨の投資家がこの市場に群がっている。
こうした投資家の素性は、地元の運用会社や信託会社、外国人、規制当局の出身者など実にさまざまだ。
不良債権の流通市場が発展すれば、銀行のバランシシートがきれいになり、経済的に有益な融資に資金を回すことができるため、中国政府の意向にもかなう。また、ハイリスク・ハイリターンの資産を多様な投資家に分散させることで、大手銀行にとってリスクの低減につながる。
香港に拠点を置くフィッチの銀行アナリスト、グレース・ウー氏は「リスクを外国人など幅広い投資家に分散させることができれば、中国の金融システムからリスクを遠ざけることが可能」と話す。
ただし、投資家にも相応の覚悟が必要になる。中国はそもそも透明性が低く、ローンの担保に問題があることも少なくはないからだ。
中国のディストレス債権の投資家は、不良債権の処理機関として政府が設立した資産管理会社(AMC)から大幅なディスカウントでローンを買い入れる。その上で、ローンの担保を高値で売却したり、破綻した借り手を立ち直らせて債権を回収するなどして、利益を稼いでいる。
PwCの香港のシニアパートナー、テッド・オズボーン氏は「不良債権比率を引き下げるよう、銀行は規制当局から圧力を受けている」と指摘。「資産管理会社などに引き渡される融資は増えている」という。
中国の銀行規制当局によると、同国の商業銀行の不良債権は2015年上半期、1兆8000億元(約2800億ドル)に増加。15四半期連続の増加を記録した。スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)で金融機関の格付けを担当するシニアディレクター、リャオ・チャン氏によると、銀行の不良債権は下半期に倍増する可能性があるという。
4大不良債権処理機関(信達、華融、長城、東方)、そしてリスクを進んでとろうとする投資家は、ビジネスの機会に事欠かないだろう。
外国人投資家も注目
中国の4大国有銀行から不良債権を買い取る目的で1999年に設立された資産管理会社は、これまでに4兆元以上の不良債権を引き受けてきた。資産管理会社は債権をディスカウントで買い取り、借り手から返済を受けるか、または債権を転売することによって利益を得る。