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対露ビジネスロシアの輸入禁止措置、予測不能に──P&Gやコルゲートにも「被害」
ロシア政府の禁輸リストにない品目がある日突然、輸入禁止になる理不尽がまかり通っている
消費者は不満 ワインや洗剤など愛用の欧米ブランドは戻ってくるのか?
ロシアの政府機関は先週半ばに突然、一部の欧米ブランドの洗剤を輸入禁止にし、スーパーマーケットの棚から撤去するよう命じた。こうした措置はより広い製品に広がっていく可能性もあると専門家は警告しており、欧米メーカーは疑心暗鬼にとらわれている。
独ヘンケルや米プロクター&ギャンブル、米コルゲート・パルモリーブなど大手メーカーの洗剤を撤去させたのは、政府機関のロシア連邦消費者権利保護福利監督庁(Rospotrebnadzor)。理由は、これらの製品がロシアの安全基準を満たしていなかったからだというが、詳しい説明はない。
ヘンケルは、すべての製品は当局の品質基準を満たし、認証を得たものだと主張する。「今回の措置がどのような基準で行われたのか、当局者から直接聞かなければならない」と、同社の広報担当者は言う。「Rospotrebnadzorと連絡を取り、一刻も早くこの問題を解決したい」
西側の洗剤は皮膚に悪い?
ロシア政府は現在、チーズや肉など欧米の食品の一部を輸入禁止にしている。欧米は、ウクライナ紛争に介入したロシアに対して経済制裁を科している。ロシアの禁輸措置はそれに対する報復だ。しかしRospotrebnadzorが時々思い出したように輸入禁止にする品目は、ロシア政府の公式な禁輸リストには載っていない。先月も、3種類のカリフォルニア・ワインの輸入が禁止じられたばかり。理由はやはり、安全基準を満たしていないことだった。
愛用の欧米ブランド製品が永久に輸入禁止になるのではないかという消費者の不満を打ち消すため、Rospotrebnadzorは声明でそうした否定し、輸入禁止にしているのは製品のごく一部だと発表した。
米ブルッキングズ研究所のロシア専門家、リリア・シェブツォバは、欧米製品を恣意的に輸入禁止にするのは政治的な行動の結果だという。「こうした処分は習慣化しかねない。政府の末端機関であるRospotrebnadzorが、次は何を輸入禁止にしようかと知恵を絞っている姿が目に浮かぶ。指導者の意図を察して先回りするのが彼らの生き残り法だ」
ロシアと欧米の関係が冷戦後最悪となるなか、Rospotrebnadzor長官のアンナ・ポポバは、散発的で部分的な禁輸がロシア政府の歓心を買う一番の方法だと考えたのかもしれない。「Rospotrebnadzorにとっては西側の反応などどうでもいい。ロシア政府の主流に入ることしか考えていない」と、ツェブツォバは言う。
アンナ・ポポバはRospotrebnadzorの声明発表後間もなく国営テレビに出演し、洗剤を撤去させたのはロシアで増加している皮膚異常との関連が疑われたためで、欧米製品をすべて輸入禁止するわけではない、と釈明した。
それでも、ロシアに製品を輸出する企業は用心するに越したことはない。