急成長するコロラドのマリファナ起業家たち
パイからリップクリーム、マッサージオイルまで市場が急拡大、業界団体や業界紙も生まれる活況ぶり
医療用も デイケア・センターでマリファナを栽培する職員 Jonathan Alcorn-REUTERS
大学を卒業して半年後、仕事を探していたジュリー・ベーリンガーには2つの選択肢があった。1つは幼稚園の先生になること、もう1つは、大麻(マリファナ)ビジネスに参入すること......。
彼女が住むコロラド州では昨年1月、全米で初めて娯楽用のマリファナの販売が解禁された。娯楽用大麻はワシントン州やアラスカ州でも解禁になり、医療用は23州で合法化されている。ベーリンガーは急成長を遂げつつあるマリファナビジネスへの参入を決めた。「決断を下した後は、2度と振り返らなかった」と、ベーリンガーは先週開催された「マリファナビジネス会議・エキスポ」で語った。
ベーリンガーの会社「スウィートグラスキッチン」では、医療用と娯楽用両方のマリファナ製品を扱っている。最初はたった1つのマリファナ調剤薬局から始めた会社が、今ではマリファナ入りのブラウニーや季節のパイ、カップケーキまで作るようになっている。
「公民権運動のような歴史の流れになる」
ベーリンガーは、マリファナ産業のパイオニアの1人だ。マリファナは連邦レベルではまだ禁じられているため、乗り越えなければならない障害も多い。例えば、マリファナ製品を発送する際は、フェデックスのような宅配業者や郵便は使えず、工場から販売店へ直接運ばなければならない。それでも悔いはないとベーリンガーは言う。「マリファナはただハイになったり快感を得るためのものじゃない。参政権や公民権運動のように大きな歴史を作ることだ」
新しい産業なので古い男社会が存在せず、女性が参入しやすいことも魅力の1つだと、業界団体の「ウーマン・グロウ」の共同創業者、ジャスミン・ハップは言う。彼女によれば、マリファナ産業が成功するためには、家族の健康を預かる女性の参加が不可欠だ。
グルテンや精糖を含まず、農薬も一切使わない健康マリファナ製品を扱う店もある。バターやシリアル、グラノラ・バーや種子のミックスなど、州内の800店舗で250種類の製品を扱う「ナチュラル・エディブルズ」だ。炎症や不安を抑え、リラックスするのに役立つという。
業界紙マリファナ・ビジネス・デイリーの調査によると、食品と健康、美容分野は今後のマリファナ市場で最も大きな成長が期待できる分野だという。