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ニュービジネスアマゾンが開始、ヤギのレンタル・サービス
機械や人間による草取りよりも低コストでエコなところが魅力
サービス拡大 さまざまなビジネスを手掛けるアマゾンの新たな試み Fabrizio Bensch-Reuters
労働力不足に悩んだ第1次大戦中のアメリカで、ウッドロー・ウィルソン大統領はホワイトハウスの芝を刈るのにヤギの力を借りた。20年代には米大リーグのフィラデルフィア・フィリーズが、本拠地の球場ベイカー・ボウルの天然芝を維持するために2頭の雌羊と1頭の雄羊を飼っている。
そして先週、米アマゾン・ドットコムがヤギのレンタル・サービスを始めた。除草をさせるためだ。アマゾンは流し台の設置からヨガのレッスンまであらゆるサービスを提供する「アマゾン・ホーム・サービシズ」を新たに始めたが、その中で「ヤギの放牧」も試験的に展開する。
ヤギは羊よりも草取りに向いている。農業情報サイトのモダン・ファーマーによれば、4650平方メートルの土地を草取りするのに羊なら83頭必要だが、ヤギなら38頭だ。ヤギも羊も4つの胃を持つ反すう動物だが、ヤギは草だけでなく、ほかの動物には害になるような植物や物質も消化できる。
「従業員証」を着用
アマゾンは昨年からヤギと親しい間柄だ。アマゾンジャパンが岐阜県多治見市にある物流拠点で、30〜40頭のヤギを使って除草を始めたからだ。すべてのヤギは従業員証を着用し、物流センター敷地内の草を食む。
ヤギとアマゾンは自然な組み合わせと言っていい。というのも、同社の本拠地であるワシントン州シアトルは、州の補助金を得てヤギを放牧し、公共の場の下草取りをしていることで有名だ。農業機械が入れない場所にも、ヤギなら入ることができる。人間が草取りをするより低コストだし、二酸化炭素排出量は少なくて済む。
アマゾン・ホーム・サービシズがレンタルするヤギは、近くのバション島にあるレント・ア・ルミナント社のタミー・ダナキンが所有している。彼女はヤギを使った除草サービス業界の有名人で、風刺報道番組コルバート・リポートの「アメリカを駄目にする人々」コーナーにも出演。司会のスティーブン・コルバートは、ダナキンの活動が人間の庭師の仕事を奪っているとからかうと、「ヤギがこの国のすべての庭仕事をやってしまうまで、私は満足しない」と返した。