最新記事

成長予測

中国経済が世界の重荷になる日

中国の経済成長率が10年後には今の半分近くになると米有力調査機関が予測

2014年11月14日(金)12時39分
ミーガン・クラーク

投資主導の終焉 工場やマンションの建設もピークを過ぎて Alex Lee-Reuters

 毎年のように記録的な高度成長を重ね、世界経済の屋台骨を支えてきた中国経済。だがシャドーバンキング(影の銀行)や巨額な地方債務などの問題が山積している。政府はGDP成長率目標を従来の8%から12年には7.5%に引き下げて軟着陸を目指してきたものの、今年7〜9月の成長率が7.3%と5年半ぶりの低水準だったことが先週明らかになった。

 これが中国経済停滞への予兆になるかもしれない。中国経済の成長率は25年までに今の半分近くに落ち込むだろうと、全米産業審議会(非営利のビジネス情報機関)は先週の報告書で予想した。主因は生産性の低下と改革の失敗だ。

 中国経済の15〜19年の成長率は年平均で5.5%に、20〜25年は3.9%程度にしかならないと予想する。

 外国企業は中国が「長くゆっくりとした景気減速期」に入っていることを認識すべきだと、報告書は指摘する。「競争の性質は投資主導型の事業拡大から市場シェアの奪い合いへと変わった」という。

 外国企業にとってはメリットもある。安価な労働力の供給が増えて大勢の従業員を雇いやすくなり、価格が下がるため企業の買収もしやすくなる。中国政府も「これまでになく親切」になるだろう。

 11年までの約30年間、中国経済は年平均10.2%という急速な成長を遂げてきた。07年の成長率は14%に達したものの、12年以降は成長が鈍化している。

 全米産業審議会の予想は、他の著名なエコノミストたちの見解とも一致する。IMF(国際通貨基金)も7月、中国は15年の成長見通しを6.5〜7%に引き下げるべきだと指摘した。

 サマーズ元米財務長官はこう分析している。「途上国では、経済の急速な成長は中断されることが多い。そのような非連続性は、成長率の変動の大きな要因になる。強い国家管理と汚職の蔓延、独裁的支配といった中国の特徴は、そうした経済成長の後退を、通常よりも起こりやすくすると考える」

[2014年11月 4日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防

ワールド

アングル:トランプ氏のカナダ併合発言は「陽動作戦」
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲うウクライナの猛攻シーン 「ATACMSを使用」と情報筋
  • 3
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 9
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 10
    ロス山火事で崩壊の危機、どうなるアメリカの火災保険
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 9
    大麻は脳にどのような影響を及ぼすのか...? 高濃度の…
  • 10
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中