「タクシー業界の敵」で「破壊的」なUberとは
スマホでタクシーを呼べる配車サービスは既存の業界の厳しい風当たりをバネに市場を拡大中
業界の危機 「白タク」アプリUberがロンドンの名物タクシーを脅かす Stefan Wermuth-Reuters
スマートフォンで手軽にハイヤーやタクシーを呼べる配車サービス「Uber(ウーバー)」。シリコンバレー生まれのこの「破壊的」な新サービスはタクシー業界に激震を巻き起こしながら、世界中の都市に着々と進出している。
利用者はUberにクレジットカード番号を登録し、スマホに専用アプリをダウンロードする。タクシーが必要なときはアプリを開いて地図をタップすれば、近くにいるUberの契約ドライバーが駆け付けてくれる。料金はアプリで自動的に決済する仕組みだ。
このサービスにレッドカードを突きつけたのは、既存のタクシー業界だ。業界が反発するのは、Uberが事実上タクシー事業を展開しながら、タクシーの営業許可を取っていないこと。規制が厳しく、新規参入に高いハードルがあるタクシー業界は、異色の新参者に市場を荒らされることにとりわけ神経を尖らす。
だが逆風も何のその、Uberはヨーロッパ市場席巻をめざし、野心的な進撃を続けている。ヨーロッパ各地のタクシー運転手はこれに危機感を募らせ、今年6月にはロンドン、パリ、ベルリンなど主要都市で抗議のタクシーが路上に集合、交通をストップさせる事態になった。
こうした大混乱も、Uberにとっては格好のビジネスチャンスになる。同社はロンドン進出に当たって、主要夕刊紙に全面広告を掲載。最高50%の割引サービスを目玉にした利用拡大キャンペーンが奏功し、その日のうちにロンドンだけで850%利用者が増えたと発表している。
今や主戦場はドイツに移っている。進出を阻む当局に対し、Uberはここでも逆風を追い風に変えるマジックを発揮。フランクフルトの裁判所は地元のタクシー業界に対する「不正競争」に当たるとして、ピア・ツー・ピアのカーシェアリング斡旋サービス「UberPop(ウーバーポップ)」事業を禁止した。