最新金融用語に見る危機防止の攻防
「プリンシパル・トレード」から「ロンドンの鯨」まで金融業界の暴走を防ぐ専門用語
危機は杞憂? 新法案成立で金融界の強欲を取り締まれるか Lee Jae-Won-Reuters
100年に一度といわれた世界的な金融危機の発生からはや5年。アメリカ経済は、米連邦準備理事会(FRB)による量的緩和政策もあり徐々に回復の兆しを見せつつある。FRBは、本来議会がやらなければならない経済成長をけん引してきた。
ただ、世界経済を破綻の淵に追いやった金融危機は本当にもう起こらないのか? 最新の金融用語を解説しながら、アメリカ政府の対応とビッグマネーを虎視眈々と狙う企業の企みを探ってみる。
まずは「テーパリング」だ。もともと「先細り」を意味するこの用語は、金融業界では政府による量的緩和(QE)が徐々に終わりに向かうことを言う。
FRBは、経済活性化のためにこれまで市場にどんどんお金を流していたが、その蛇口の栓を次第に閉めていくということだ。
ただ来年1月に任期を終える米連邦準備理事会(FRB)のベン・バーナンキ議長と後任のジャネット・イエレン副議長は、量的緩和政策を当面続けるときっぱりと言いきったので、低金利と市場への資金供給は来年中は続くだろう。蛇口の栓はまだ締めない、ということだ。
中央銀行がこうした金融政策の見通しを発表することを、「フォワードガイダンス」という。これまで金融政策について秘密主義を貫いてきた彼らにとって、新しい試みを表わす言葉だ。
だがアメリカ経済が回復に向かうにつれて、このガイダンスはそれほど前向きな話ではなくなった。
バーナンキが今年の夏にテーパリングを早めに行うと「ガイダンス」を行ったことが、新興国市場でちょっとした経済危機を引き起こしたからだ。
量的緩和の終わりは、たいてい金利の引き上げが伴う。そのため、金利が高くて信頼の高い米国債の方が魅力的だという期待が膨らみ、途上国に流れていた資金がアメリカ市場に逆流し、途上国の通貨価値が下落する事態まで起こった。