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疑惑スノーデンをかくまうウィキリークスの資金源
スノーデン支援で寄付は増えているが資金の出入りは「情報公開」に程遠い
2人の逃亡者 アサンジ(左)やスノーデンを守るためには莫大な費用が必要かかる REUTERS (SNOWDEN), FINBARR O'REILLY-REUTERS (ASSANGE), JOHN LUND-BLEND IMAGES/GETTY IMAGES (DOLLAR BILLS)
国際的な逃亡犯罪人を2人もかくまうには金が掛かる。内部告発サイト「ウィキリークス」にとって幸いだったのは、米政府のネット監視システムを暴露し、亡命先を探している元CIA職員のエドワード・スノーデンに「集金力」があったことだ。スノーデンの支援を開始して以来、同サイトには続々と寄付が集まり始めた。
ウィキリークスは、創設者ジュリアン・アサンジとスノーデンの裁判関連費用と生活費に多額の資金を必要としている。昨年には9万ドル近くの金を集め、スノーデン支援を開始してからは毎日約1300ドルの寄付が届いているが、もっと金が必要だという。
ウィキリークスの昨年の予算は51万197ドル。3人の有給のソフトウエア開発者で運営しているウェブサイトにしては、かなりの金額だ。それでも常に赤字のようだ。
皮肉なことに、ウィキリークスは情報公開を使命に活動しているにもかかわらず、自分たちの活動資金の出入りは意図的に見えにくくしている。寄付をした支持者が金の使い道を知ることは不可能に近い。
ウィキリークスが内部告発文書をインターネット上で公開するだけにとどまらず、国際的な内部告発者保護組織という役割を担い始めるにつれて、必要な資金は膨らんできた。現在は、アサンジとスノーデンだけでなく、ウィキリークスに秘密文書を流したブラッドレー・マニング元米陸軍上等兵のための資金も集めている。
支出は寄付金の5.5倍
しかしウィキリークスはビザ、ペイパル、ウェスタン・ユニオン、バンク・オブ・アメリカに寄付金支払いの決済を拒否されている(7月3日まではマスターカードも)。そのため、さまざまなルートを工夫して寄付金を集めなくてはならない。
インターネット経由の寄付金集めで最も大きな役割を担っているのは、ベルリンに拠点を置くワウ・ホランド財団。01年にドイツのハッカー組織のメンバーによって設立された団体だ。
「スノーデン事件を機に、ウィキリークスへの関心が高まっている」と、同財団の創設メンバーの1人、ベルント・フィックスは言う。「報道で取り上げられるたびに、寄付金が増えている。今は1日にざっと1000ユーロくらい。事件前に比べればかなりの金額だが、2010年はもっと多かった」
ウィキリークスへの資金供給源の中には、特定の目的や活動に用途を限定して寄付を募っているものもある。「ブラッドレー・マニング防衛基金」はその1つだ。同基金は10年6月以降で、128万9972ドルを集めている。
ウィキリークスに寄付をするのは、支持者にとってもひと苦労だ。自分の寄付した金がどのように使われているのか知りたいと思うのが当然だろう。では、同サイトはどのように金を使っているのか。
昨年のウィキリークスの支出は、同じ年に寄付を通じて受け取った金額を大幅に上回っている。支出額は寄付総額の約5.5倍にも達した。
予算の使い道は、大きく分けて3つある。サーバーの設置・運営費用、広報と新たな機密情報暴露のための準備の費用、そして──裁判などの法律関連費用だ。
ただしアサンジには弁護士や法律専門家の国際的人脈があり、彼らの多くはボランティアでウィキリークスを支援している。アメリカでアサンジの弁護を担当するマイケル・ラトナーも報酬は受け取っていないという。
やはりどこまでも不透明だ。
[2013年7月23日号掲載]