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ゲーム止められない、止まらない
シンプルだけど奥が深い「Dots」にハマる人が続出
目標は禅? 遊んだ後は気分が良くなるとか
ニューヨークに住むアニメーターのダニエル・サビージは、iPhone用ゲームアプリ「Dots」のチャンピオン。「天才に秘密なんてない。要は天才か、そうじゃないかだ」と、本誌の取材にメールで答えた。
「こいつは世界IQ(知能指数)テストみたいなものさ」と語るサビージは2週間、世界一の座を保持していた。その後、宿敵のベン・チェリーに1時間だけ王座を明け渡したが、すぐに取り戻した。「ライバルの登場は大歓迎だよ。またゲームをやる気にさせてくれるからね」
「Dots」はドット(丸い点)を指でなぞり、点と点をつないで消していくゲーム(動作環境はiOS5・0以上)。制限時間の1分以内に消したドットの数を競う。先月、アップストアに登場してから1カ月でダウンロード数が200万回を突破。やりだしたら止まらない「ハマる」ゲームだ。
開発者はニューヨークに拠点を置くパトリック・モーバーグとベータワークス社の面々。この「Dots」、ゲーマーを文字どおりとりこにする。1回のゲーム時間はたった1分。でも、それが2分、3分となり、気付くと夕方なんてことになる。
ワシントンのデジタル・コンサルタント、ノア・チェスナットは病みつきぶりをツイッターでこう告白する。「いつもやってる。起きてすぐ、トイレで、電話中に、テレビを見ながら、バスの中で、そして寝る前も」
このアプリにハマる理由を「とにかくシンプルだ」と説明するニュースサイト「ハフィントン・ポスト」のシニアエディター、クレイグ・カナーリーは、こんな哲学的考察まで披露した。「点と点を結び、意味をつくり出す──人生と同じだ。このアプリはただのゲームじゃない」
すべては開発者の狙いどおりだ。「パトリックは、遊んでも罪悪感を感じないゲームを作りたかった。ほとんど『禅』みたいに、やった後で気分が良くなるものをね」と、ベータワークスの製品担当副社長ポール・マーフィーは言う。「脳に負担をかけないシンプルなものにしたたかったんだ」
シンプルかもしれないが、特別な才能が必要だと、チャンピオンのサビージは信じている。宿敵は王座奪還を狙って秘策を練っているという噂だが、まったく気にならないようだ。「ライバルに言いたいこと? 『まあ、頑張れ』ってとこかな」
[2013年6月18日号掲載]