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貿易自由化TPPに関心を示した中国を待つ高いハードル
参加可能性は低いのに、参加国と情報交換をしたいとする中国政府の真意は?
アメリカ主導 21世紀の自由貿易圏を目指すTPP(2011年11月) Larry Downing-Reuters
中国がTPP(環太平洋経済連携協定)への参加を検討するという。商務省の沈丹陽(シェン・タンヤン)報道官は先週の記者会見で、「平等互恵の原則に基づき慎重に検討し、賛否両論をよく踏まえた上でTPPに参加する可能性がある」と発言。「参加国と情報を交換したい」とした。
TPPは現在、原加盟国(シンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランド)に、既に参加意思を表明している7カ国(オーストラリア、カナダ、マレーシア、メキシコ、ぺルー、アメリカ、ベトナム)を加える拡大交渉が行われている。今年4月には日本も交渉に加わることが正式に決まった。
アメリカなどの推進国は、TPPは関税障壁の撤廃のほか、法規制の整合性確保や中小企業の国際貿易参加促進を掲げていることから、伝統的な自由貿易協定(FTA)を超えた21世紀の経済連携協定だと唱えている。「開発途上の参加国が直面する課題」に配慮するのも特徴だ。
TPPはアメリカのアジア重視政策における経済面の支柱とみられ、今後も希望する国がいつでも参加でき、新たな貿易分野を追加できるようになる見通しだ。
ただしその参加国は大規模な市場開放を迫られる。しかも新たに参加する国は、既参加国が合意した条件をすべてのまなければならない。それだけに、中国が近い将来TPPに参加するのは難しいとみられていた。
実際に中国は、TPPよりも参加国が多く、クリアしなければいけない条件は緩い東アジア地域包括的経済連携(RCEP)を支持してきた。RCEPの参加国はASEAN10カ国に、日本、中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランドを加えた16カ国で、5月から本格的な交渉が始まった。
中国は韓国との2国間FTA、さらに日本も交えた日中韓FTAの締結も目指している。その上TPPに関心を示したことは、経済における国の役割を大幅に減らしたいという中国新指導部の意向を反映しているようだ。
TPP拡大交渉は11年11月に大枠合意がまとまっており、今年中の最終妥結を目指している(難しいのではないかというのが大方の見方だが)。日本は7月半ばにマレーシアで開かれる第18回拡大交渉会合で「TPPデビュー」を飾る。遅れてきた中国が高いハードルを越えられるだろうか。
From the-diplomat.com
[2013年6月11日号掲載]