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ヨーロッパ経済暴動で露呈したスウェーデンのひずみ
人も羨む高福祉国の人々が爆発した理由は何か
北欧よ、お前もか ストックホルム北西部リンケビューで放火された車(5月23日) Scanpix-Reuters
若者たちが車に火を付け、警官隊に石を投げ付ける──。手厚い福祉制度と堅調な経済成長で、世界が羨む豊かな国であるはずのスウェーデンが、連日の暴動に揺れている。
発端は5月中旬、首都ストックホルムの北部でなたを振り回していた地元の69歳の男性を警官が射殺した事件。これに反発した抗議運動が暴走し、首都の各地に広まった。警察署や学校などが襲撃で破壊され、22日には一晩で90件の火事が発生した。
暴動の背景にあるのは、ヨーロッパの成功モデルとされる社会制度の裏で拡大してきたひずみだ。スウェーデンはこれまで、高齢化が進むなかで労働力を増強するため、欧州諸国の中でも積極的に移民を受け入れてきた。暴動が起きた地区も人口の8割が中東やソマリアなどからの移民やその子孫だとされる。
だが彼らすべてが国の豊かさの恩恵を受けているわけではない。移民系の失業率は16%に達し、将来への不安や差別的な扱いにいら立ちを募らせている。
現在ではOECD(経済協力開発機構)加盟国で最も急激に格差が拡大するスウェーデン。そのひずみは簡単に修正できないほど大きくなっていたようだ。
From GlobalPost.com特約
[2013年6月 4日号掲載]